あこがれのカードゲーム
金澤流都
きょうから僕は、僕の物語のヒーローだ!
僕はため息をついた。漫画の中で主人公が手にしているカードを見る。この漫画がこのカードゲームを売るために書かれたものだというのは僕みたいな小学生でも分かる。
カードゲームをしてみたい、と親に言ったら、「ルール覚えられないでしょ」と言われた。それを友達に打ち明けたら「簡単だぜ?」と言われた。友達はさらに友達がたくさんいるので、みんなでカードを交換したり、それこそバトルをしたりしている。
それを親に言うと、「カードの取り替えっこは大人の問題になるからだめ」と言われた。よけいな騒ぎを避けたいのがうちの親だ、しょうがない。カードゲームは漫画の主人公が戦う様子で満足しよう。
そんなある日、学校の帰り道で知らないお爺さんが僕に箱を渡してきた。開けてみると欲しかったカードが入っている。嬉しくなってお礼を言おうとしたら、お爺さんはいなくなっていた。まさに漫画と同じ展開だ。
それも親に話した。親は慌てて警察と学校に電話した。警察はカードを預かり、不審者として探す、と言っていた。
漫画のヒーローのようにはいかず、むしろカードゲームが遠のいた。不審者が出たのでその日から集団登下校になった。
集団登校の列の中、友達がカードゲームの話をしていた。いいなあ。僕もやりたいなあ。カードゲーム。
もちろん漫画みたいにモンスターが飛び出してくることはない。それでもカードゲームをやってみたい気持ちは春休みを過ぎ、中学生になっても変わらなかった。
中学生になったらカードゲーム漫画の載っている雑誌を読むのはやめる約束だ。無念だが子供は非力だ、従うほかなかった。そのかわり別の漫画雑誌を読むことが許されたが、その雑誌はどうも興味が持てなかった。
僕はカードゲームがしたいのだ。できないから、主人公がカードで戦っている漫画を読んでワクワクしたかったのだ。
そうやってカードゲームについて燻りながら、いつの間にか高校生になった。スポーツは苦手だから文化部に入ろうと思って入った新聞部は、なんと別名カードゲーム部だったのである!
アルバイトの給料でスターターデッキを買った。これで、僕はあこがれの場所に立ったのだ!
きょうから僕は、僕の物語のヒーローだ!
あこがれのカードゲーム 金澤流都 @kanezya
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