ひなまつり
菜の花のおしたし
第1話 ひなまつりの前夜
ひなまつりの前の夜のこと。
「あーしんど。かしこまりー、かしこまりーやんかいさ。おんなじ姿勢で正座やでもーう、足痺れてもて感覚あれへんわ。」
「ほんまでんなぁ、ワシら年寄りなんか膝が痛うてあきまへん。立たれしまへん。
それとチビってしもてますわ。」
「うわっ、いややん、それ大きい方とちゃうやろねぇ!」
「いや、さすがにそこは我慢してまんがな。おひぃさまいてはるのに、、。」
「なぁ、あんた、白酒残あるか見てきてや!なに、偉そうに座っとんねん。
ほれ、行きはなれ。」
「んま、きつい嫁はんやで。こんなん、鬼嫁って言うやろ?な?左大臣?」
「いや、存じませんな。我が姫はお育ちがよろしいので、自ら動くなどあり得へんのです。さ、殿、おのこなのですから。」
「えーっ、左大臣は味方してくれへんのー!じゃあ、右大臣どうやねんって?」
「わたくしも左大臣殿の言わしゃる通りと、、。」
「ふーん、なんや、みーんな姫の味方やねんな。はいはい、白酒見てきまんがな。
やってられへんな。ワシ婿養子ちゃうぞー!
あるある新品の白酒置いてあるよー、そっちまで持って行こか?」
「新品あんのー?めっちゃラッキーやん。女子集まれーー!!おっさんら、席開けーや。あんたもやって。女子会言うたの聞こえてへんのですかー?そこについとんのは耳ちゃうまんのー?餃子でっかー?」
「三人官女、あんたら今年のひなまつりどない思た?」
「あれ、孫の娘なんでんの?何喋ってはんのかさっぱりわからへんでしたわ。
テンアゲーとかバイブスとかチルとかなんでんの?
それと爪、武器でっか?あれ?」
「わたしなんか見ておくれやす。ここんとこ、あの爪がブッ刺さって着物穴あいてまんねん。裂けてまっしゃろ?」
「わー、やりよんな。あのアホ娘。」
「だいだいやで、あんな孫娘にええ縁談をちゅうて言われてもなー。どー思う?」
「いや、無理でっせ。それに、うちら、そもそもそんな力ありまへんがな。」
「そやねーん、無いねんよね。あれへんって!って叫びたいやんな。」
「ほんまですわ。」
「それやのにやで、ひなまつり終わったらすぐに片付けへんかったらいけず後家になるてや大騒ぎやんかいさ。んなもん、知らんしー。」
「そーですわ、本人の実力やと思いまっさ。」
「姫ー、ひなあられありまんがな。ツマミにしましょか?」
「あんた、きがつくやーん、な、ありがたいこっちゃー。」
「姫、うちらが最初に会った小さな女の子どないしてはるんでしょう?」
「そやねんな。ずっと、うちらのこと大切にしてくれたなぁ。お支度する時も髪の毛の乱れとかつげの櫛でな整えてくれはったしなぁ、、。着物かてあわせや裾も綺麗にしてくれたなぁ。」
「そーですわ。今年の支度は並びも適当にしようとしてるし、わての髪の毛ぐちゃぐちゃですわ。簪見ておくれやす、後ろに刺さってまんねん。」
「姫ー、そんなん言うたらでっせ。うちらの楽器の担当違ってますねんでー!」
「こんなんやったら出さんといて欲しいわ。恥ずかしいやんか?なぁ、皆んな。」
その時だった。おぼつかない足跡がした。
雛人形は慌てて自分の場所に戻った。
「ああ、今年もありがとうございます。あらあら、髪の毛やら並びやら持ち物やら
違てるなぁ。
さてさて、皆さん、お支度しましょか。」
そう言って、白髪の老婆はつげ櫛やら柔らかい布で髪を整えてお顔を拭いた。
そう、雛人形達が心配していた小さな女の子は、彼女だった。
ひなまつり 菜の花のおしたし @kumi4920
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