理想の花嫁
ここグラ
理想の花嫁
「被害者は
「まるで花嫁になるために生まれてきたような名前だな、ってツッコミはさておきとして……死因は刺殺か?」
「ええ、腹部を鋭利な刃物で滅多刺しにされたことによる出血多量死ですね」
「純白のウエディングドレスが真っ赤に染まっているな、手口からして動機は怨恨か?」
「ええ、犯人がそう供述していましたし」
警部の
「なあ白河……今、犯人って言ったよな?」
「はい、言いましたけど」
「……犯人、もう分かってるの?」
「ええ、凶器のナイフやウエディングドレスに指紋がべったり付いていましたし、犯人の衣服に被害者の血液が付着していましたから」
「……いや、事件が早く解決したのは喜ばしいんだけどさ、何で証拠隠滅しなかったの?」
「知りませんよ、犯人に聞いてください」
白河はそう言い、犯人を連れてきた。それを見て、白石は目が点になった。
「犯人の
「犯人の
「犯人の
「犯人の
「犯人の
……いや、どこからツッコんだら良いんだ? とりあえずは。
「……5人もいるの?」
「はい」
「てか、本当に全員日本人?」
「まあ、無理矢理感は否めないですけど、全員正真正銘日本人男性です」
「ま、まあ良い。お前達、殺害の動機は」
「「「「「あの女に捨てられたからです!!!!!」」」」」
妙にハモッた声で犯人軍団は答えた。無駄にチームワーク良いな、おい。
「被害者は色々な男と付き合って、就職を機に今までの男関係を清算したそうです」
「まあ、ありがちだな。で、ちょっと聞きたいんだが、どうしてこんなに証拠残してるの? いや、こっちとしてはありがたいんだけどさ」
「「「「「ウエディングドレスの為です!!!!!」」」」」
「……は?」
今、こいつら何て言った? 日本語だというのは分かるんだが。
「殺害するためにクロロホルムで眠らせたまでは良いんですが、奴はとにかくウエディングドレスの何たるかを分かっていなくてですね、我慢できなかったんですよ。まず、ウエディングドレスの種類!! 色々な種類があるとはいえ、やはり王道はプリンセスライン!! なので、まずはそれに着替えさせたんです」
「当然色はホワイト!! 純白こそ花嫁が一番映えるんだぜ!!」
「もちろんウエディングベールは必須!! あれほど清楚さを表現できるものはないんだな!!」
「頭にティアラを載せるのも忘れてはならない!! これにより、プリンセスラインの魅力を最大に引き出せるんでごわす!!」
「ウエディンググローブもマスト!! しっかり腕全体を覆うよう、ロング丈だべ!!」
……どうしよう、頭が理解に追いつかない。
「花婿によると、被害者はプリンセスライン以外の種類を選んで、色は白ではなく、ウエディングベールもティアラもウエディンググローブも着けていなかったそうです」
「まあ、人それぞれ好みは違うからな。てか……まさかあんたら、そのためだけに被害者を着替えさせたり、オプションを着けたりしたの?」
「当然!! それを見過ごすなど、ウエディングドレス愛好家の我々の信条に反するんです!!」
「いや、あんたらの好みはどうでも良いんだが……ナイフに5人分の指紋が残っていたってことは、まさか全員一回ずつ刺したとか?」
「ああ、交代しながらやったんだぜ。やはりウエディングドレス姿の花嫁を殺害するには刺殺が一番だからな、純白に赤い血が映えて綺麗なんだぜ」
いや、だからあんたらの好みはどうでも良いと……待てよ、だとしてもだ。
「それにしたって、証拠隠滅の時間はあっただろ。何か他に理由が」
「決められなかったんだな」
「……ん?」
「ウエディングドレス姿の花嫁の刺殺体を遺棄するのに、一番映える場所を……決めることが出来なかったんでごわす!!」
「……は?」
「ああ、実に悩んだ!! 俺の希望が通らず、残念だったんだべ」
……どうしよう、俺の東大卒の頭脳をもってしても、分からん。
「だから、王道のチャペルの花嫁控室こそが至高なんです!!」
「いやいや、チャペルのベッドこそが一番だぜ!!」
「何を言う!! 廃墟こそが背徳感を刺激してくれる最高の場所なんだな!!」
「お前たちは何も分かっていない、趣のある竹林が正解でごわす!!」
「やれやれ、まだまだひよっこだなお前達も。沼で濡れて、水が血に染まるのが玄人だべ」
……もうさ、何でもいいから早く終わらせたいんだが。
「つまり……それで口論になって時間使ったせいで、証拠隠滅できなかったと?」
「ええ、結局殺害現場であるチャペルの花嫁控室に決まりました。ヒャッハー、俺の希望が叶って嬉しいです!!」
「お前だけずるいんだぜ!!」
「なあ白河、さっさと署に連行してくれないか? もう俺の頭脳が限界だわ」
「かしこまりました」
こうして、犯人軍団は署に連行された。一件落着……なんだろうか?
「なあ……白河」
「何ですか?」
「これって……ラブコメか?」
「ウエディングドレス【ラブコメ】ディーですから」
理想の花嫁 ここグラ @kokogura
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます