次々と披露されていく人形たちの推理の後に衝撃的な真相が待っている

 事故物件に住む家族。

 その家に飾られている雛人形の髪が伸びる、という出来事が起きる。

 その怪現象を見た父親は以下の二点を語った。

 かつて市松仁子という人形師がこの部屋で殺されたこと。

 彼女が作成した五体の市松人形、部屋に置かれていたそれらの髪が切り落とされていたこと。

 その親子は上記二つの点と人形の髪の毛が伸びたことには関連があるのではないかと思い、この怪現象を止めるためには、市松仁子の死の謎を解かねばならないと考え、推理が始まっていく……。


 この物語の面白いところは、その推理を人形たちが行っていくところです、

 どの人形も個性があって、ある人形の推理が間違っていたことが判明するたびに、撤去されていく様子は、まるでクローズドサークル系のミステリー小説で、日が経つごとに犠牲者が増えていくかのよう。

 今回もその謎の真相は驚くようなものなのですが、ここからが黒澤カヌレさんの真骨頂で、さらに衝撃的な事実がその後で判明します。

 序盤の方から注意深く読んでください。

 ミスリードが仕込まれていたことに、終盤の方で気づくことになると思います。

 技巧が凝らされた傑作です。是非、読んでみてください。

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