ひなまつり大戦 ~バカ親父たちの挽歌~
初美陽一@10月18日に書籍発売です
バカ親父共、揃い踏む。
――雛人形を仕舞わずにいると、婚期が遅れる――
単なるジンクスに過ぎず、そもそもは、
『片づけを疎かにするだらしない女の子は、お嫁さんに行けないわよ!』
という教訓だとも言われる。
然れども、それを心から信じる者にとっては、神にも
取り分け、娘を愛してやまぬ、男親などにとっては――
今まさに、ここに
ひなまつりに想いを注ぐ――バカ親父共である――
―――――――――エントリーNo.1―――――――――
雛人形を片付けると嫁に行かれてしまう、ならば片付けなければいい。
それがジンクスであろうと構わない、嫁に白い目で見られても関係ない。
雛人形を出し続け、優に十年以上、今や娘にすら白い目で見られながらも。
雛人形を片付けること無し――その男、不撓不屈にして一念を貫く異形の精神性。
―― 片さずのカズヒサ ――
―――――――――――――――――――――――――
―――――――――エントリーNo.2―――――――――
「おおきくなったら、おとーさんのおよめさんになる~!」
そんなありふれたやり取りを、忘れられぬ男がいた。
ゆえにこそ、その男にとって、ひなまつりのジンクスは特別なものであった。
幼いゆえの言動と、普通ならば本気にせず、あるいは思い出として淡く滲む。
それをいっそ愚かしいまでに、いい大人でありながら、鮮明に覚え続ける。
―― 愚直のタカシ ――
―――――――――――――――――――――――――
―――――――――エントリーNo.3―――――――――
娘を嫁にいかせるまいと、ひなまつりのたび、雛人形を片付けさせまいと抵抗する者がいた。
されど、嫁は強かった。引くほどに強かった。毎年ボッコボコにされていた。
だがそれでも、毎年、その抵抗は続いた。
男は言う――「負けてからが戦いの始まりだ」と。
果たして彼が勝利する日は、来るのだろうか?
―― 約束されし敗北のケンスケ ――
―――――――――――――――――――――――――
―――――――――エントリーNo.4―――――――――
その者、いわゆるオネェである。
幼き日、雛人形の華やかさに憧れ、けれど決して己のためにはならぬという悲哀。
時は経ち、理解ある伴侶を得て、授かった娘のために雛人形を飾る時。
喜ぶ娘を眺める表情は、愛おしさと幸福に満ち溢れたもので。
ジンクスなど気にせず、出来るだけ長く飾ろうとするのが、毎年の恒例だ。
―― 性逆のアユム ――
―――――――――――――――――――――――――
―――――――――エントリーNo.5―――――――――
その男に、娘はいない。
何なら、嫁すらいない。
しかし、存在する――愛娘は、存在するのだ。
その男の目にだけは、映っている。
雛飾りを前に、愛娘が嬉しそうに、微笑みかけてくる幻想が。
愛娘は、存在する―――その男の、脳内にだけ―――
―― 空想上のユキタカ ――
―――――――――――――――――――――――――
雛人形を仕舞わずにいると、婚期が遅れる――なんなら「望むところだ」と言い出すバカ親父が大半を占めるという、恐るべき実情。
今、そんな親父共が集まり、たった一人の最強を決める……訳では別にないが。
……さて、娘たちの言い分はといえば。
「「「「……いやわたしたち、普通に嫁に行きたいんですけど!?」」」」
………………。
ひなまつりの時節。
妙なジンクスに縋る、娘を嫁に行かせたくないバカ親父共と。
至極真っ当な言い分の、とっとと雛人形を片付けて欲しい娘たちとの間で。
〝ひなまつり大戦〟なる争いが、今――始まろうとしている――!
……のかも、しれない――!?
~ ★たぶん親父たちの挽歌End★ ~
ひなまつり大戦 ~バカ親父たちの挽歌~ 初美陽一@10月18日に書籍発売です @hatsumi_youichi
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