第13話 幸せな結末?

「悠さんと美樹ちゃん、ようやく結婚か~」

「おめでたいわよね」

「だよな。前に悠の元彼女が押し入って来て美樹ちゃん刺して、悠のことも刺したときは終わったと思ったもんな」

「だな。話には聞いてたけど、相当ヤバかったよな」

「もう、2人が生きてて幸せになったんだからいいじゃない。こんな晴れの日に暗いこと言わないの」

「だよな~。2人とも目を覚まして、抱き合ってるの見て、偶然お見舞いに行ってた俺すら泣いちゃったもん」

「それにしても、なんで受付の人形に混じってお雛様の人形が1体だけ置いてあるんだ?」

「知らな~い」

「おい、始まる前から酒飲めるらしいぜ?」

「いいね! 貰いに行こう」


 華やかな飾り付けがされた豪華な部屋。


 そこは結婚式場。


 今日、1組の男女が結婚する。




 悲惨な出来事を乗り越え、絆を深めた二人。

 目覚めた後もお互いに助け合い、支え合い、突き合った結果、今日の善き日を迎えたのだった。



 


「あのとき、とりあえず神様に願って良かったよな」

「悠君のおかげよ。私には、あんな状況でとりあえず言ってみるなんてできなかったわ」

「なんか棘が……」

「ふふふ。冗談よ。大切にしてくれてありがとう。これからもよろしくね♡」

「もちろんだよ……美樹さん」

「今、間があったわね。やっぱり長柄ながえって呼んじゃう?」

「ごめん……」

「いいのよ。私にとっても衝撃的な経験だったしね」

「あいつらまだあそこにいるのかな?」

「わからないわ……」

 俺達は無事に帰って来た。


 なんと、俺が適当に言い放った要望を神様が聞いてくれたんだ。

 きっととりあえず数を減らしたんだろうな。

 5人から2人引けば、あと3人だ。


 もしかしたら提子ひさげちゃんも同じノリで解放されてるかもしれない。

 そうすれば残るは2人……。


 今、身震いした。

 もしかして戻って来てここにいたりしないよな?


 三方さんぽうさんはいいけど、穂乃花は勘弁してくれ。


「む……」

「ん? なに?」

「わからないけどね。もし戻って来てたとして、提子ひさげちゃんと遊んじゃダメよ?」

「当たり前だろ!?」

「ふふふ。浮気はダメ……絶対よ?」

「あぁ……」

 少しだけお茶目な感じになった美樹さんのお腹を撫でる。


 何も遠慮なく突きまくっていたらできるに決まってるもんな……。

 もちろんできたさ。


 今日を無事に終えたら、旅行に行って、新居に移って、その次は出産だ。



「美樹ちゃん! 悠! おめでとう!!!」

「美樹ちゃんキレイ!!!」

「悠……裏切りやがって!?」

「幸せになれよ~~~!!!!!」


 俺達のことをみんな祝ってくれた。

 当然のように衆目の中ではじめての共同作業をやって、大量のケーキを口にぶち込まれた。

 

 ……からの、キス。


 真っ赤になった美樹さんがとっても可愛かった。


 とってもとっても愛おしい妻となった長柄みきさん。 

 そのお腹の中には俺たちの子供がいる。


 どんな子が生まれてくるかな?


 













 そうして月日は流れ、美樹さんは無事、子供"たち"を産んだ。


 もちろん俺は浮気なんか一切していない。

 お店にすら行っていない。


 先輩たちが飲みにつれていくといいつつ、そういうお店に連れ込もうとするのを見て、美樹さんの同期の女性の方々が冷たい目をしていたから、先輩たちが職場結婚をすることはないだろう。


「お疲れ様、美樹さん」

「ふふ。悠君ったら。大変なのはこれからよ」

「そうだね。俺、頑張るから」

「うん……よろしくね♡」

「あぁ……」


 俺達は美樹さんが抱いているそれはもう可愛い娘たちを2人で見つめながら撫でる。



「おぎゃあ~」

「あらあら。よしよし。大丈夫ですよ。パパですよ~」

 注目されたのが分かったのか、一斉に元気に泣きだしたのがまた可愛い。


 大切にしよう。


 妻になった美樹さん……長柄ながえさんと、生まれたばかりの3人の娘を見ながら、俺はそう決意した……









「(よろしくね、悠君)」

「(あの……よろしくお願いします……)」

「(なんで私まで……)」




「ん?」


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俺ってモラハラ元彼女に刺されたよな……なんでお内裏様に転生してるの?しかも元彼女がお雛様?……まじかよorz とりあえず神様の目的を叶えて生還したいのに邪魔するなよ、お雛様!!!  蒼井星空 @lordwind777

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