あかりをつけましょBomb ball in need

鈴木怜

あかりをつけましょBomb ball in need

 これは私の古い友人から聞いた話だ。

 どうも、この世界のどこかにはひなまつりの日に爆弾を投げ合う祭りがあるらしい。


 迷惑にならないようにと今はVRの空間でやっているというその祭りへ、私は行ってみることにした。

 VR空間で交流できるゲームで作られたそこワールドに入ってみると、そこには荒野が広がっていた。

 空を見上げれば、漫画でよくある形の丸い爆弾が飛び交っている。


 奇祭もいいところだなどと考えていると。


「どうですか、この場所は」


 と人が入ってきた。聞いてみれば、その人ははじめての人にこの場所を説明しているという。

 盛り上がっているというか、地形的には掘り下がっているというべきか。

 それでも、なかなか面白い場所だと私が答えると、その人はそうでしょうとにこやかな笑顔を浮かべた。


「でも、なんでこんな祭りが始まったんですか?」


 よくぞ聞いてくれました、とその人が言う。


「明かりをつけましょ爆弾にという替え歌が始まりとされています」

「ダジャレじゃねーか!」

「その起源はとある笑顔になるあの動画サイトとも言われています」


 インターネットの悪いノリじゃないか。


「ちなみに敗者復活できるみそボ」

「完全にボンバ◯マンじゃねーか!」


 まあまあ、投げてみませんか、と爆弾が渡される。

 投げてみると、これが意外と飛ばない。コツがいるらしい。


「もしかしてパワー振ってない感じですか?」

「……そこまで寄らなくていいんじゃないですかボ◯バーマンに」



 それでも、現実空間で実際にやるよりはよっぽどいいのかもしれない。

 なんでももう300年くらい続いている祭りらしいので、言葉を選んで言うと、知らない世界ってまだあるんだなあというところだ。


「あかりをつけましょBomb ball in need……いやなんでもない」


 VR空間でやるようになったのってそういうことだよなあ、と思う。


 2396年。

 人類はいつでも爆弾を投げ合えるようになった。


「ちなみに他にも例のサイトから始まったものに壁殴り代行とか壁殴り代行代行ができる空間とかもありますよ。行ってみますか?」

「カオスだなあ……インターネットは」


 また今度古い友人に会った暁には、文句の一つでも言ってやらなければならないらしい。

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