第10話「実技指導」

「アナタの痔の治し方はコンピュータのシュミレーションで有効であるとわかりました。私と一緒に家まで行ってください」


「家!?」

 なんのことかわからなかったが、宇宙人に言われ拒否すれば宇宙空間だ。言われるままに、何でもしなければ……

「もちろん、喜んで!」

 ボクは嬉しそうに返事をした。


 実は一緒に居た各国の人の数が減っている。

 最初に20人だったのが、今は15人である。


 空飛ぶ円盤は宇宙人の家に向かっているようだ。

「この円盤に乗っいる者は、各国から選んだ伝統的な医術を受け継いでいる人達です。実は、私の父親が痔で苦しんでいます。そこで痔を治せそうな地球人を探して集めたのです」

 ボクに宇宙人が話している。

「あなた達の医療は、地球人よりも遥かにすぐれているように思いますが?」


「そう。ワレワレの医療は地球人よりもすぐれている。しかし、機械に頼りすぎで痔を治す方法は、なぜか上手くいかない。人口肛門に取り換えることはできるが、父親は自分の肛門を治したいと希望したので、私は地球人の伝統的な医術の伝承者を探したのだ」

「それじゃあ、ボクも選ばれてここにいるのですか?」

「もちろん、そうだ」


 宇宙人の情報網というのは凄いものだ。ボクは伝承者と言うわけでもないし、導引で生計を立ててるわけでもない。以前に痔の治し方を自費出版で出したことがあるが、ほとんど読む人はいなかった。


 👾👾👾


 宇宙人の家に着き、父親だと言う宇宙人が現れた。

 身長150cmくらい、体重40〜50kgくらい。目が大きく灰色の皮膚だが、鼻や口もあり、構造は地球人と似ている。


 早速、痔を治す方法を教える。

 裸になって直接、肛門を押して教えた。

 トイレットペーパーは、この星でも使っているが、トイレの中に付いているロボットが拭いてくれることが多いらしい。


 ひと通り教えると「地球人は人前で裸になって、肛門を平気で押すのだな」と宇宙人の父親は笑っていた。


 空飛ぶ円盤の中では検査のたびに全裸でやっていたので、今回もなんとなく全裸になってしまった。

 誤解のないように、地球人は人前では服を着て肛門も触らないと言っておいた。


 宇宙人の父親は、教えたことをやって見るが、どうもぎこちない、肛門を押す力加減もわからないようだ。

 この宇宙人の父親の痔が良くならなければ、ボクはどうなるかわからない。

 ここは、思い切って手取り足取りで教えなければと思った。

「直接触ってもいいですか?」と言うと、宇宙人の父親はびっくりしていたが、

「どうぞ!」と覚悟を決めた。


 ボクは、お尻のもみかた、肛門周りの指圧のやり方や力加減を丁寧に教えた。

 気になったいたのは肛門の後ろ側の仙骨の近くだが、触ると血管の膨らみがあった!

 ここの流れが悪いと、いくら肛門周りを指圧しても治りません。この部分も必ずもむようにと教えた。


 宇宙人の父親は空飛ぶ円盤の運転をする仕事で長時間、イスに座り運転していたらしく、尻尾のあった部分はよく圧迫していたと言った。



 ボクの教えている姿は全部記録されていたらしく、コンピュータにやり方を入れ、父親の症状も入れると、痔の症状でも、穴痔や脱肛は手術しなければいけないが、幸い宇宙人の父親は切れ痔といぼ痔なので、このやり方をすると、半年後には症状は消えるだろうと出た。


 これなら宇宙空間に捨てられないとホットした。


 次の瞬間、ボクは自分の車の中にいた。

 宇宙人のことは夢だったのかと思ったが、車は家の駐車場にあり、ボクは20日間も行方不明になっていた。



 👾👾👾



 その後、ボクの家の周りで、空飛ぶ円盤がひんぱんに見られると噂になっていた。


 夢の中に、あの時の宇宙人が現れ、ボクの痔の治し方を地球で言うSNSみたいなものに流すと評判になり、ボクの事も探し出す宇宙人もいて、見物に来ているらしい。


〈 おわり 〉

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痔の本を書いたら、宇宙人がやって来てUFOに拐われた。 ぢんぞう @dinnzou

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