ガリクソン師匠を知りませんか
風波野ナオ
ガリクソン師匠を知りませんか
本当の事を含んでいますが、身バレを防ぐ為にフェイクや脚色が入っています。
高校の時、私はとある仲間のグループに属していたが、そこではよく草野球をしていました。
休み時間になると玩具の柔らかいボールを手打ちする野球みたいな遊びをしたり、休日になると野球が出来る公園で集まって軟式で野球をしていました。
さて、その仲間の一人に『ガリクソン師匠』と呼ばれている男子がいました。
昔ジャイアンツに属していたビル・ガリクソン投手に顔が似ていたのでその呼び方になったのですが、本物が190センチの長身に対して師匠は背が低く160を切っていて、でもダイナミックなフォームはそっくり。
そのギャップがまた面白かったのですが、まぁいい感じにグループから愛されていた人物だったと記憶しています。
夏休みが終わり学校へ出ると、ガリクソン師匠は来ていませんでした。
クラスに行ってみましたが席さえ消えていて、グループの子に話を聞いて回っても誰も師匠の事を認識していませんでした。
別の言い方をすると、師匠は存在がなかったかのように消滅していました。
どうなったのかは誰もわかりません。
これだけだといつの間にか人がいなくなった、というだけの話ですが続きがあります。
翌年の夏前に連れと街を歩いていると、ガリクソン師匠が突然自転車に乗って眼の前に現れたのです。
私は驚き、しばらく見なかったがどうしたんだと問うと、高校は辞めて今は全国を自転車でまわっていると答えました。そういえば、自転車に色々荷物を積んでいていかにもそんな感じです。
この時、どういう訳か隣の連れは横を向いていました。
すぐに私は連れの方へ顔を向けて彼の肩を叩いて注意を引き、前言っていた師匠が居たよと言いました。
しかし視線を前に戻すと、師匠はどこにもいませんでした。
その後やはり誰も師匠のことを覚えていないし、行き先もわかりません。
覚えている私さえ、そもそも彼が本当に存在したのかどうかも怪しくなってしまいました。
今私は生まれ故郷を離れているため、昔の知り合いと連絡することもありません。もはや彼のことを調べる手立ては失われています。
ただ、ボールの投げ方の癖が頭に残っています。
そんなわけで、ガリクソン師匠のことを知っている人がもしいれば連絡をください。
元気でやっていればそれでいいんです。
できればその特徴的な投げ方だけでも教えてもらいたい。
それだけです。
<了>
ガリクソン師匠を知りませんか 風波野ナオ @nao-kazahano
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます