あらすじ(ネタバレあり)

あらすじ

舞台は大阪府です。



【1章 ゆるゆる薬膳との出会い】


 結婚を控える千歳と拓嗣。

 拓嗣は頻繁に風邪を引く。

 ある日また風邪を引いて、長居公園でのお花見の約束をキャンセルされた千歳は、時間つぶしにと立ち寄った北花田イオンの本屋さんで見た薬膳の本に興味を持った。

 食事に栄養素は意識していたのだが、中医学だという薬膳はどうなのだろか。

 サプライズ好きの拓嗣からのプロポーズから半年後、6月、ふたりの挙式。イベント好きでもある拓嗣がジューンブライドにこだわった。

 結婚式はなんばのビストロでのレストランウェディング。親と一部親戚、親しい友人を呼んでのこぢんまりとしたもの。参列者のおかげで良い式になった。



【2章 千歳と拓嗣くんのなれそめ】


 千歳と拓嗣は高校の同級生。だがそのときはあまり接点は無く、大学に入ってから行われた同窓会で再会した。

 それから千歳の高校時代の友人のカレン、拓嗣の友人である原の4人で遊ぶ様になった。

 拓嗣は夢を叶えるために、専門学校に通っていた。国家試験も数ヶ月後に控えていたが、たまの息抜きも必要と来てくれていた。

 千歳と拓嗣は実家が近く、一緒に帰っていた。そのとき拓嗣が自分を卑下する様なことを言ったので、千歳は違う、凄いことだと伝えた。

 それから拓嗣からふたり飲みの誘いがあり、そこで交際を申し込まれたのだった。千歳はそれを受け入れて交際が始まる。そして結婚までこぎつけたのだった。



【3章 それぞれの役割り】


 拓嗣の仕事は拘束時間が長い。男性向けクリニックの看護師なのだ。

 朝の7時半に家を出て、帰ってくるのは21時を過ぎることもある。

 水曜日は午前診療だけなので、拓嗣が午後に掃除と洗濯をしてくれる。そもそも掃除は拓嗣の役目だった。

 このころから、拓嗣が風邪を引く頻度が下がり始めていた。薬膳のおかげだろうか。

 新居での生活やお仕事が落ち着いたので、両家の両親と兄弟を呼んでホームパーティをしないかという話が持ち上がった。

 千歳ははりきって7人分のお料理をする。

 そのとき、ある事実が判明する。

 拓嗣の実家、母親はお料理が苦手で、毎日お惣菜などだったのだ。

 ここで、どうして拓嗣が風邪を引きやすかったのかを理解する。元々あまり丈夫で無かったところに、毎日のカットサラダで体温が下がり、免疫が落ちていたのだ。

 代わりにお掃除が大好きで、お家はいつでもモデルルームの様にぴかぴかだった。

 拓嗣の母親はお料理が苦手なのかも知れないが、家族を思って美味しいものをお腹いっぱい食べて欲しいと、毎日の支度をしていたはずだ。だからそれで良いのだと、少し落ち込んでしまった拓嗣を、千歳は励ましたのだった。



【4章 ドラマの様にベタな】


 お仕事の写真加工で、モデルである聖のデータが来た。

 東京にある大手事務所の大阪事務所に所属している人で、関西で主に活躍し、ローカルバラエティや情報番組に出ている。

 実際会ったことがある人いわく、高飛車になっているそうだ。

 ある日、会社の同期に誘われて行った、締めに豚汁がいただける日本酒バーで、聖が男性に振られているところに出くわす。

 相手に置いていかれているところを見かねてしまい、声を掛ける。

 いらいらを抑える豚汁を注文する。それをすすめて、落ち着かせて話を聞いた。

 裕福な親御さんに溺愛されて育った聖は、本人が意識しないだけで傍若無人となり、外でも同じ様に振舞っていたのだ。それは常識では無いのだと諭し、箱入り娘だったために素直に育った聖は、それを受け入れてくれたのだった。



【5章 誤解と幻覚】


 ある日、千歳は拓嗣に無視をされた。

 聞くと、どうやら浮気を疑われたらしい。もちろん身に覚えは無い。

 実は、失恋した同僚の女性を慰めているところを見られて、誤解されたのだ。

 その同僚は宝塚音楽学校を目指した過去があり、男役志望だったので、ベリーショートカットでパンツスタイルで長身だったのだ。

 その数日後、12月に入った途端、拓嗣くんが風邪を引いた。冬なので長引くだろう覚悟をする。マスクをして寝込む拓嗣。千歳は代わりにお掃除をし、ごはんでも薬膳を取り入れて拓嗣の回復に務める。もちろん薬にも頼った。

 数日後、予想より早く回復した拓嗣は、元気に出勤していった。

 ある日、聖の写真集の制作が決まる。千歳はその撮影立会いのために梅田に出る。すると拓嗣が女性と腕を組んで歩いている場面を目撃する。

 拓嗣に聞いてみると、友人なのだから男女関わらず腕を組むのはおかしく無いと言われる。千歳は混乱する。

 カレンと原に相談したところ、興信所勤めの原が調べてくれた。

 拓嗣は催眠術に掛かっていると言うのだ。

 拓嗣は女性に奥手なのだが、千歳はそれを克服するために術を掛けてもらったのでは、と想像する。

 ふたりに協力してもらい、術を解いてもらった拓嗣くんに話を聞くと、やはりその通りだった。

 千歳たちに迷惑を掛けたことを落ち込む拓嗣。3人はそんな拓嗣を「あなたは大丈夫」と励ました。

 そして家で、ふたりでの食卓。ふたりはこれからも労わりあって思いやりながら、自分たちなりに成長しつつ、支え合っていこうと誓ったのだった。

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わたしたちのゆるり薬膳生活 山いい奈 @e---na

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