酔いの代償

stdn0316

第1話

 今朝からひどい風邪で寝込んでいる。

 高熱に身体の節々が痛む。今日は会社に行けそうにない。


 普段から健康には気をつけていたのに何が原因だろうか。

 ふと、昨日の飲み会の後に酔った勢いで同期と一緒に近くの神社へ寄ったことが頭をよぎる。


 出る、と噂の神社であったが、酔いで気が大きくなっていた。

 あえてそこでお参りするのだと騒ぎながら神社へ乗り込んだ。


「ウィーッス!カミサマ!あー何お願いしようかな?あ、おい!経理部のAちゃん、あの子タイプなんだよ〜付き合わせてくれよ!お願いしまーす!」

 大声でそんなことを言い、賽銭箱をバンバン叩いた。


「おい流石にバチ当たるぞ!」

 同期からの注意も聞いていなかった。

 神社を去る時、視界の端に黒い人影が見えた気がしたがすぐに忘れた。


 まさか...熱が出ると気弱になる。そんなことで風邪を引くはずがない。

 不意にインターホンが鳴った。重い身体を引きずりモニターを確認する。


 黒い人影が立っている。

 身体の痛みも忘れてベッドに逃げ帰り、布団を被った。


 またインターホンが鳴る、あれに違いない。

 その後も執拗に鳴り続けた。もう一度だけモニターを確認したが、やはり黒い人影がじっとこちらを見ている。


「おーい大丈夫か?ポカリとか買ったから今から家行くぞー」

 同期からの連絡に心底安堵した。怯えながら同期を待つ。今日は何とかして泊まってもらおう。


 しばらくしてインターホンが鳴る。同期が映っている。人影はない。ホッとして通話ボタンを押した。


「おーい!俺のような同期に感謝し...」

「大丈夫?大丈夫?大丈夫?大丈夫?大丈夫?大丈夫?大丈夫?」


 モニターが真っ黒になった。甲高い声がこちらに語りかけてくる。


「おいどうした早く開け」

「大丈夫?大丈夫?AちゃんA A Aちゃん大丈夫

?Aちゃん?A大丈夫?大丈夫?」





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