第3話 チートスキル:ボスキラー
アクアレースというのはその勝負内容は様々だ。
普通に何キロも離れたところを目的地にレースをするような勝負方法もあれば、障害物競走のようなものもある。
そして、単純な喧嘩の勝敗決めの時は非常にお手軽でわかりやすい種目で決着をつけることが多い。
「———100メートル
校門から水路で直線100メートルを
丁度おあつらえ向きに校門から100メートル先付近にはアーチ形の橋が水路の上に欠けられてあり———そこを先にくぐった方が勝ちというわかりやすいゴール地点がある。
「ああ、それでいいよ」
「結構。でも、あなた本当にそれでいいんですの?」
それ……とは俺が乗っている【アクアトレック】のことだろう。
水の上に浮かび、
それは先ほど、金髪ロールのお嬢様———ゴクジョウにぶつけられて凹まされた、ピンク色の髪の少女の【アクアトレック】で、
「い、いいんですか? そんな私の【ラストクリムゾン】なんかで……」
くすんだ赤色のボディをしている彼女のそれは、そういう名前らしい。
【ラストクリムゾン】か……。
【アクアトレック】のフォルムは全体的にバイクに近い。水上ボートの分類ではあるのだが、前輪と後輪を持ち、搭乗する姿勢も前傾姿勢でフットペダルで出力調整もする。
タイヤが大きな水の上を走るバイク。
外見的にはそれが一番近い。
「いいんだよ。自分の物を取りに行くのは時間がかかるし、真っ赤な【アクアトレック】って憧れてたからね」
真紅の色を持つものなんて、バイクだったらメチャクチャカッコいい。
「そ、そうですかぁ?」
ピンク髪の少女は照れたように笑い、
「無駄話なんてやっていないで、とっとと始めますわよ。あなたたち如きに私の無駄な時間を使わせないでくれます?」
俺の隣で同様に水面に波紋を波立たせて浮かんでいるのは、黄金の【アクアトレック】に乗る金髪ロールのお嬢様、ゴクジョウ・クジョウ。
名を【ゴールデンゴージャス】という趣味の悪い真っ金々のそれにまたがり、勝負の合図を待っている。
「ああ、悪いわね。じゃあこのコインを落としてそれをスタートの合図にするって言うのはどう?」
そう言って銅貨を取り出し見せつける。
「別に構いはしませんわ」
彼女の同意を得て、俺はピンッとそれを指ではじく。
すると銅貨は上空へと上がり、やがて下へと落ちて来る。
「バカですわね。私の〝スキル〟も知らないで……」
ゴクジョウが口角を歪めた邪悪な笑顔を見せる。
「スキル?」
そう疑問を口にした時だった。
———ぽちゃん。
水面に銅貨が沈んだ。
その瞬間————、
ドオォッッッ……‼
ゴクジョウの駆る【ゴールデンゴージャス】が
彼女がいたあたりの水面は爆発したように吹き飛んでいた。
あまりに急で、あまりに凄まじい加速だった。
———助走もなしに。
「私の〝スキル〟———〝ロケットスタート〟はドライブを起動させて0秒で最大限マックスの力を発揮できる能力! 【アクアトレック】に搭載されている動力炉、アクアドライブは唯の水をエネルギーに変える装置じゃない! 人間の想いに呼応してその出力を変える魂をシンクロさせる機関! 【アクアトレック】は乗り手の想いと才能を現実世界に顕現する至高の機械! 私の
「聞こえているよ」
「————ッ⁉」
俺の目の前に、振り返り驚愕に目を見開くゴクジョウの顔があった。
俺はゴクジョウに追い付いていた。
彼女のすぐ後ろにピタリとついていた。
「どうして⁉ 私のロケットスタートの最大加速に、瞬時についてこれるのです⁉ スキルでもない限り、物理法則に従ってスピードは徐々に加速していくものなのに!」
「わかってるじゃない。スキルだよ」
「⁉ まさか私と一緒⁉」
「違う。私の、このサクヤ・ビンテッドの
「何ですって⁉」
「ゴクジョウさん。強くいてくれてありがとう。おかげで超加速と超高速の肉体駆動が体験できた」
ちなみにこうしている俺たちの会話は0・1秒の瞬間の出来事である。
互いにスキルによる超加速は、【アクアトレック】だけでなく、互いの肉体と精神すらも加速させ、知覚や思考が加速し、刹那の間に互いの言葉をやり取りできるまでになっている。
「相手が強ければ強いだけ、自分も強くなるってそんなんありですの⁉」
「有りみたいだよ。才能っていうのはそれだけ残酷ってことなんだよ———」
俺は、ハンドルグリップを回し、【ラストクリムゾン】を加速させた!
後ろで巨大な波が立つ———。
「———今度はあんたが報いを受ける番だ」
「やめ———!」
俺は、前方を走っているゴクジョウの【ゴールデンゴージャス】を避けることなく、そのまま真っすぐに走り抜けた。
「きゃああああああああああああ!」
ドンッッッ‼
おかげでぶつかられた【ゴールデンゴージャス】は勢いよく吹き飛び、空高く舞い上がった。
そしてバイクから落ちながらも、橋の下をくぐっていく。
俺の
「あ~あ、後ろから接近してくる私に気づいて避けるなり、反撃するなりすればよかったのになぁ~」
俺は彼女の遥か前方で、後ろへ指をさしながら———笑ってそう言った。
そしてゴクジョウはドボオンと海の上に落ちる。
勝負は———俺の勝ちだ。
転生したらスク水しか制服がない世界にいた件 あおきりょうま @hardness10
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