「恥ずかしがり屋の子が趣味のあう相手を見つける話」

結晶蜘蛛

「恥ずかしがり屋の子が趣味のあう相手を見つける話」


「うひひひ……」

「さすが、姉御っす!」

「姉御の一睨みで相手は逃げていったすよ!」


 みんなが私をたたえてくれるけど、すごく恥ずかしい……!

 いや、たまたま道を歩いてて、こっちに突っかかってきたからそっち見ただけなんですけどね……。

 私、そんなに目つきが悪いのでしょうか……。 

 昔から目つきが悪くて、普通に見ただけでにらんでると勘違いされやすいんです。

 あんまり怖がらせるのも悪いので、目を伏せてたんですけど、そのせいで姿勢が悪くなって、なおさら悪い印象を与えるようになったみたいなんです……

 そのうえ、埃に弱いからマスクをしているせいでなおさら人相が悪く見えるみたいで……。

 そのせいかガラの悪い生徒に祭りあげられることになりました……。

 ちょっと、からんできたところを倒しただけなのに……。

 みんなのイメージを壊すのも悪いから、こういうことしたくないの言い出せない……。



 趣味のこともそうなんだけど、私は映画が好きなんですよ。

 特に映画館で見るのが好きで、そのほうが迫力があって全身で映画を感じられて好き。

 ラブコメ系の映画が好きだけど、わざと決めずにランダムな映画を見に行くことも好きなの。

 外れも多かったけど、当たったときがとても楽しいのです。

 でも、あの子たちが期待しているイメージと違うから言い出せないのです。


「あの、もしかして……」

「っ!」


 驚いて頭が真っ白になりました。

 声をかけたてきたのはクラスメイトの子でした。

 どうやら彼も映画好きらしく、同じ映画を見ていた私に気づいて声をかけてくれたみたいでした。 

 初めは怖がっていたようでしたが、映画のことになると話が弾んでいきました。

 私も初めて映画の感想を言える相手ができたので、うれしかったのです。


「うへへへ……」


 それ以来、一緒に感想の言い合いをするようになりました。

 彼はマイナーがホラー映画をよく見るようで、私も知らない映画をよく知ってました。

 今の学校になって以来、映画の感想を言い合える相手もいなかったので、すごく楽しいです。

 でも、私と友人であることが判明すればあの人にも迷惑がかかるし、ほかの人にも迷惑がかかる……ばれないようにしないと……。

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「恥ずかしがり屋の子が趣味のあう相手を見つける話」 結晶蜘蛛 @crystal000

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