冒頭から「トシヤ」の破天荒っぷりに強く引きこまれました。
主人公のサオリは三日前に別れた「元カレ」であるトシヤがベランダに侵入してきているのを見る。
目的は、「空腹を満たすこと」だった。サオリがベランダでキャベツを栽培しているのを思い出したので、それを食べようとしていという。
トシヤの思わぬ野生児な行動。そんなトシヤに呆れつつ、買い置きしてあったカップラーメンを出してあげるサオリ。
「アホの子ほどかわいい」として、ついつい心を許してしまう感じが、自然と伝わってくる作品でした。
「しっかりした子」のイメージがあり、会社でも頑張って仕事をするサオリ。一人で頑張って生きており、自分に厳しく過ごしてきたのであろうことが窺えます。
そんな彼女だからこそ、激ユルな思考を持ったトシヤに惹かれてしまう。「自分にないもの」を持っている彼に癒しを感じもし、彼女の人生にとっての「緩衝剤」にもなりうることが容易に伝わってきます。
最後までユルユルな行動をとり続けるトシヤに何度も頬が緩みました。デコボコだけれどやっぱりこの二人は相性が良さそうと、読んで前向きな気持ちになれる作品でした。