第12話
「私、これでも一途な方なの」
「そうかよ」
「だから信じて」
私に覆い被さる男の頬を両手の平で包み込んで、真っ直ぐに見つめる。一瞬たりともブレたりしない。
真っ黒な瞳が細く柔らかく笑った。
ドクン、と心臓が甘く跳ねる。
「…明美」
「っ、名前知ってたの?」
「当たり前だろ」
何この人、こんなに甘かった……?
いつも無愛想で口数も少なくて、タバコばっかり吸うような男だったのに。
顔に熱が集まるのが自分でも分かる。つまり当然目の前の蓮にも分かってしまうわけで…。慌てて自分の顔を隠したけど、
「あけーな」
「うっさい、」
「明美は俺に一生負け続ければいいんだよ」
「っ…!ばっかじゃないのっ」
一生って、その意味分かってんのかな…。
でもそうなればいいと思う。
蓮になら一生、死ぬまで負け続けてもいいかもしれない。
「好きだ、明美」
ーendー
惚れた男 宮野藍 @miyanoai
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます