第11話
「嘘でも冗談でもねえよ。本気でもねえ女にこんなこと俺が言うと思ってんのか」
「っ、」
そうだ。この男は甘いセリフを女に平然と吐き出すような奴じゃない。愛想が無くて言葉数の少ないこの男の言葉だからこそ、それは本物だと思える。
心が、震えた。
じわりじわりと温かいものが全身に伝わって視界が歪んでいく。
「…すき、」
「ああ」
「大好き」
「知ってる」
口角をゆるりと上げて当然だと主張するそれにはやっぱり私は一生勝てない相手に恋をしたんだって思った。
でも、負けてもいい。
このムカつく男の隣に居られるのなら、それでもいいよ。相手が他の誰でもない私が惚れた『本庄連』なら。
「俺の前から消えたりすんなよ」
「消えない」
「ああ」
「絶対に消えたりしない」
ぽろりと漏らした本音。
当たり前のように目の前にいた人が消えるって心に結構な打撃を与えるよね。
分かる。分かるけど、それは昔の話でしょ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます