最初の一話を読み終えた段階で、主人公のこころちゃんが好きになります。
こころちゃんは元気な女の子。学校で先生に怒られてもケロリとしていて、廊下に出ていろと言われたのをいいことに、ちょっと校内めぐりの冒険をしてしまうなど活動的な面も。
この行動、すごく楽しそうだな、と読んでいて自然と胸が躍りました。みんなが授業を受けている時間。誰もいない校舎の中を一人で探検。非日常感満載で、ワクワクする気持ちになります。
そんなこころちゃんが、これから学校で行われる「百人一首」のテストのために勉強をすることに。友達の亜美ちゃんと一緒に百人一首をせっせと暗記しようとします。
この辺りもまた楽しそう。百人一首は知らない人はまったく知らない。でも覚えようとするととても味があり、「新しい世界」に触れていくような情緒に満ちています。
本作はそのように、「子供の目」として触れていくワクワクや新しさなどといくつも出会うことができ、「楽しい子供時代」を追体験できるような魅力に満ちていました。
そうしてキーとして出てくるお雛様の存在。幼い弟が「お人形」繋がりでゴジラと戦わせてしまうような描写があったり、三人官女が「お歯黒」をしていることについて解説されたり、お雛様を通して色々な刺激が得られるようにもなっています。
そしてちょっとファンタジックな、「子供の目線」だからこそ気づく不思議な現象も……
子供時代の、色々なものと触れ、色々なものを吸収していく感じ。そんな心の動きや昂揚感がふんだんに味わえる、とても素敵な作品でした。