道先案内人・リリカ

もっちゃん(元貴)

第1話 仕事

   

    「きみは幸せでしたか?」



 突然、わたしの前に現れた大きい鎌を持った上下白い服、上はフリルのついた服で、下はスカートの中学生くらいの女の子が見た目とは裏腹に大人びた声で、そう言ってきたのだった。


 「えっと…」


 わたしが状況が飲み込めず、言葉にできないままでいると


「あれ?おかしいわね。たしか、きみの名前は…」


 女の子の前にタッチパネル画面がでて、なにやら探しているようだ。


 「あった!佐々木莉嘉ささきりかさんであってる?」


 

 「っ!?なんで私の名前を知っているんですか!」



 「なんでって…それは私が道先案内だからよ」


 「道先案内人?あなたは、一体誰で、ここはどこなんですか?」

 

 莉嘉は、キョロキョロ見渡すが、白い部屋に今立っていることしかわからなかった。



 「わたしは、道先案内人のリリカよ。まさかと思うけど、きみ、ここがなんなのか知らないできたの?」


 

 「あっ、はい。わたしには、何が何だかわからなくて…」


 「そうなの…ちょっと待ってて。今きみの情報を見てみるわ」


 「えっと…なになに、えっ!?嘘っ!!」


 リリカが、その情報をみた瞬間、持っていた鎌に力を込めた。


 「はぁー。久々にマガイモノに出会ったわね」

 なんだか、ため息をついて、ひどくガッカリしているようだ。



 「マガイモノ?」


 私が、マガイモノってこと?どういうことだろう。



 「ああ、急にマガイモノと言われても、きみにはわからないわね」


 「簡単に説明すると、私たちは、ここに来る通常の人とは違う方法で、きた人のことをマガイモノというのよ」


 「そのマガイモノだったら、わたしはどうなるの?」


 「こうなるのよ!!」


  ービュン


 急に、リリカが持っていた大きな鎌で、わたしを襲ってきたのだ。


 「わっ!!何するんですか!?危ないじゃない!」


 必死に避けた莉嘉だったが、尻餅をついてしまった。


 「きみのようなマガイモノがここにはいては行けないからよ!ここは純粋な人達が最後に行き着き、安住の地に向かう玄関の役割をしてる神聖な場所なのよ!」


 莉嘉の首に鎌がかかり…


 「ヒッ!やめて…お願い!」


 莉嘉の必死のお願いも聞いてもらえず


 「いやぁぁーー!!」



 ーザクッ!


 ーゴロッ…


 「あーあー。派手にやっちゃったわね。リリカ?」


 奥の方から、リリカと同じ格好で上下白い服を着た中学生くらいの女の子がやってきた。

 

 「カノン、仕方がないじゃない。マガイモノの処分は決定事項なんだから」


 「そうだけどさー。もっとやり方ってもんがあるでしょ?」


「あのマガイモノは、さっきみた情報によると1番ここにきては行けない存在よ。だって現世で、人を何人も殺めているし、今回だっておそらく現世で死刑を執行されて、こっちへやってきたと思われるからね」


 「ああ。なるほど、それなら仕方がないよね〜。でどうするの、これ?」


 マガイモノの亡骸を指差すカノン。



 「おかしいわね?いつものマガイモノだったらすぐに消えるのに、なかなか消えないわね」

 


 「何か特殊なマガイモノかしら?カノンあとはよろしく。私は道先案内人の仕事があるから」


 「え〜。また、わたしに押し付け〜」


 不服そうな顔をしているカノン。



 「ほら!待ち人が何人も待っているから、マガイモノに時間をかけられないのよ。あとで、夕食おごるから!」

 

 カノンがリリカの後ろの方を見ると30人ぐらい並んでいた。


 「むぅー。仕方がないわね」



 「約束だからねっ!忘れないでよね!」


 

 「わかってるって!」


 急いで待ち人のほうに向かうリリカであった。


 「さてと…」


 カノンは、首にかけていた小さな棒状の金色のペンダントを天に向けると、ペンダントが錫杖しゃくじょうに変化した。



 「マガイモノよ。大地に眠れ!」


 ーカラン


 カノンが、錫杖を降って詠唱するとマガイモノの亡骸の下に紋章が出現した。


 たちまち、マガイモノが光に包まれ消えていった。


 「ふぅ〜。よし!ちゃんと浄化できたわね」


 このマガイモノについて、上に報告しないといけないけど、後でいいわよね。

 先にリリカが忙しそうだから、手伝いに行こうっと!


 そう言い残し、軽やかにリリカのほうに向かうカノンであった。


         ◇


リリカ「お待たせして、すみません。きみは、幸せでしたか?」

         

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道先案内人・リリカ もっちゃん(元貴) @moChaN315

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