闇異世界~転生したけど異世界は終焉を迎えるようです~

藍無

第0話 全ては君からはじまり

「ねえ」

 何もない空間に、白髪に緑色の瞳の少女が言った。

 その声は、機械のようで温度がなく、透き通った声だった。

「君は、まだ、起きてくれないの?」

 その少女は、呼びかけた。

 どこかへ。

「何が、君をこうしちゃったんだろう」

 少女の瞳からしずくが一滴おちた。

「なみだ?」

 不思議そうにその少女は落ちたしずくを見つめた。そして、

「君の涙は、星屑ほしくずみたいにきらきらしてて、綺麗なのに、私の涙はただの涙でしかない」

 と、悲しそうにつぶやいた。

 後からあとから、少女から零れ落ちていく涙は止まらなかった。

 少女の瞳から零れ落ちた涙は、何もない空間に芽を出した。

 そして、少女の涙を受けてぐんぐん育っていく。

 少女はふと顔を上げた。

 そして、驚いたように声を上げた。

「わ」

 それも当然かもしれない、だって、少女の目の前には立派な大樹があったのだ。

「これは、君が望んだからなのかな?」

 少女はまた、何もないところに話しかけた。

 いや、本当はそこにはいた。___が。

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