録音された会話
ノイズ。直後に以下の会話が始まる。
男性の声「……すぐ終わるので。少し世間話しませんか? ここ最近、物騒ですよね。Sギフの能力暴走事故。いや、事件か。故意に引き起こされたわけですからね。でも被疑者の女性は遺書に「2人」と書いている。3人目はただタイミングが悪かっただけの事故なんですかね」
女性の声「いきなりなんですか……? 名乗りもせずにベラベラと……警察呼びますよ」
男性の声「おっと、失礼。それはどうかご勘弁を。お仲間を呼ばれてはきみと二人きりでゆっくりお話できなくなってしまいますから。それとももう近くにいたりします?」
女性の声「……あなたの背後、向かって左奥に座っている男性、先日自殺した被疑者宅の近くですれ違いました。配送業者の格好をしていましたね。あなたも同じバンに乗っていた。実はちょうど、私もあなたたちに話を聞きたかったんです。被疑者女性は本当に自殺だったと思いますか?」
男性の声「これは驚いた。名前の通り優秀な刑事さんだ。……冷やかしはこれくらいにしよう。ここからは真面目な話を」
「その前に、きみの質問に誠意をもって答えるよ。あれは自殺だ。疑いの余地がない。期待外れだったかな」
「さて、本題に入ろうか。単刀直入に言おう。俺と、手を組まない?」
女性の声「名前まで……身分すら明かさない不躾な人と協力など出来ません。どうぞ、お引き取りください」
男性の声「磯山大助。俺の名前だ」
(ペンを走らせる音)「これは連絡先。まあすぐに答えが貰えるなんて思っていなかったし、まずはお互いを知ることから始めようよ。お友達からということで」
女性の声「私の話聞いてました? そもそもあなたは私のことをあらかた調べているようですが私はあなたのことをまだほとんど知りません。フェアじゃない。その名前も本名かどうか怪しいのに、はいそうですかと着いて行くとお思いで? ずいぶん舐められたものですね」
磯山と名乗った男「そんなに怖い顔しないでよ。今回ばかりはきみの力が借りたいんだ。例の事件が解決できればきみだって本望でしょ? 力を借りたいと言うよりは力になりたいんだ。信じてもらえるかわからないけどさ」
「それと……きみのお父さんのことも、力になってあげられるかもしれない」
「気が変わった? すぐには難しいか。まあゆっくり考えて決めてよ、きみの人生なんだから」
「前向きに検討してもらえると嬉しいな。じゃあ、これはお茶代。よいランチタイムを」
録音はここで終了している。
ESCAPADE @ko_me_sosaku
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