「人間をダメにする味」。パワーワード、いただきました!

 読んだあと、いや読んでいる最中から、無性にすき焼きが食べたくなりました。

 トムとニコが、お世話になっている美桜さんの「彼氏」を紹介される話。
 栗栖という名の男と一緒にすき焼きを食べ、大まかな素性などを聞く。

 そこで語られる栗栖の暮らしとかも驚きなのですが、やっぱり途中で出てくるすき焼きの描写が強烈、いや、凶悪と言った方がいいレベルの仕上がりでした。

 肉。そしてそれに味つけをする卵。読み進めれば読み進めるほど、すき焼きのあの甘ったるい、そしてジューシーな感覚が口の中に蘇ってくる。

 だがきっと、トムたちの食べているものは、常人が想像しているすき焼きの味の何倍もの上を行くものなのだろう。
 老舗料亭のすき焼きの味。「人間をダメにする味」と皆が口を揃えて言うほどの味、是非とも食べてみたいものです。

 雰囲気最高。こんな居場所が自分もほしいな、と思える、ほのぼのした読み心地でした。