幻獣のいる世界④泣き虫バンシーと、〇〇を取り引きして
冒険者たちのぽかぽか酒場
第1話 ほっこりと焼くファンタジーが、アツい!あの幻獣と取り引きをしてしまったら…いろいろ、焼き続けることになるでしょう
異世界の焼きイモバトルが、泣くほど良く美味い!
彼の家の裏手にそびえる山のほうは、良くも美味くもないが。
決して高くなく、子どもでもハイキングにいける山。
なのに…。
不気味。
小高い丘ともいえる山頂に、煙突がつく謎の丸太小屋が建てられてから、不気味で仕方がない。
小屋の煙突からは、かぐわしく甘ったるい匂いが流れてくる。
まわりからは、忠告の連続。
「あの小屋、何?」
「工房?」
「魔女でも、住んでいるんじゃないか?」
「そんなやつと、取引などするなよ?トラブルに、巻き込まれる」
小屋の中からはまた、女性のしくしく泣く声が聞こえてくる。
やはり、魔女が住んでいるのか?
「気になる」
家の裏手が気になる彼は、黙っていられない。
「すまない、入るぞ?」
小屋の入口の扉を開け放つと、中でだれかが泣いていた。
たぶん女性。
「しくしくしく…、上手く焼けない…」
何?
焼けない?
この女性は、やばいものでも焼いているのか?
「ちょっと、あんた!何を焼いている!」
「しくしく…」
そうしてついに、顔を両手で覆う女性が後ろをふり向く。
「ごめんなさい…。私、バンシーなの…」
「バンクシー?」
「ちがいます。バンシーです」
「何かが焼けなくてお困りで、泣いてらっしゃるんですね?」
「…ええ。売り物になりそうもなくて」
「売る?俺に出せる金でなら、買いますけど!」
もう、取引をしてはならないという忠告など忘れていた。
「…それなら、こちらを買ってください」
「え?」
「美味しいかどうか、わかりませんが…」
「こ、これは!」
焼きイモだった。
小屋から流れてきた良い匂いの正体は、これだったのか。
「ありがとう!私、バンシー!あなた、今日死ぬかも!焼きイモ焼いても、やきもち焼くな!」
金を受けとった彼女が、そう言ってぴゅーっとどこかに走り去っていく。
「バンシー」
それは、人の死を予言するという妖精で幻獣。
特に害はなく、ただ単に泣いていることの多い者。
それにしても、バンシーから買った焼きイモの値段の高かったこと!
「これほど高価な取引をしたのだから、腕力や魔法力を上げられる焼きイモだよな」
信じて、ぱくりと一口。
…げ。
フツーの焼きイモだった。
予言通り、死にそうにへこんでいます。
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