盗みを働いて逃げていて、女子アナにインタビューされる

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 意外な女子アナ恐ろしさを、知るんだ!逃げているときにも、フツーにインタビューをしてくる人。いるって…

 彼の告白から、話ははじまる。

 「異世界に召喚されたので、盗めるモノ盗んで、またこちらの世界に戻ってきました。…ダメ?」

 ダメです。

 「盗んだ物は返すべき」

 たとえそう思っていても、盗みはダメ!

 強盗をおこなう仲間たちは、 SNSで集められた。

  SNSだけでのつながりなんて、本当の意味で仲間と呼べるのかあやしいもんだ。

 「闇バイト」

 「闇サイト」

 「闇鍋」

 世の中には、たくさんの闇が広がる。

 強盗を実行する日に、名前も顔も知らない人たちが顔合わせ。

 「…こいつ、俺らを裏切ったりはしないだろうな?」

 疑心暗鬼の連続。

 「合い言葉は?」

 「ファンタジーで、シーフのことを盗賊と呼ぶか強盗と呼ぶかで、プレイヤーの人間性がわかる気が…」

 「呼ばない。強盗とは呼ばない」

 盗みの闇のオキテは、きびしい。

 とにかく、やることはやった。

 異世界から帰れた今は、皆がちりぢりに逃げるだけ。

 彼も逃げる。

 「待てー!」

 背後からは、彼をねらう声。

 仲間のだれかが裏切って、警察にでも連絡したか?

 「人がたくさんいる中を駆け抜ければ、目くらましにもなるはず!」

 が、そう思い商店街の中に逃げ込むのはオススメしない。

 だって、今どきの商店街は人ガラガラ。

1人だけ走る彼は、かえって目立つ存在。

 社会は変わった。

 彼のピンチが、広がる。

 「は~い!街角インタビューです!」

 地元放送の局アナっぽい女性が、彼にマイクを向けてきたのだ。

 「おめでとうございま~す!」

 彼が激怒するも、彼女はニコニコ顔。

 「あ、元気な男子!」

 「良いから、どけ!俺は、盗品を持っているんだぞ?怖くないのか?」

 「実は、この商店街が作られて今日でちょうど30年になるんです!」

 「聞いてるのか?」

 「あなたは、地元の人ですか?」

 「…じゃあ、それで」

 「おめでとう!」

 彼女が、目の前に控えるカメラマンに目配せ。

 「地元人のわっしょいタイム、スタートで~す!」

 「え…」

 彼の顔が、真っ青になる。

 「運べ~!」

 どこからともなく、マッチョな男たちが集まってきた。

 まるで、闇グループ。

 「わっしょい、わっしょい!」

 彼の身体が軽々と持ち上がり、胴上げがスタート。

 それにしても、盗んだ物は返すべきだ。

 彼は、無事に警察署まで運ばれることとなった。

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