蛇龍
高麗楼*鶏林書笈
第1話
「先生、こんな話御存知ですか」
書院での講義の休憩時間、弟子の一人が西浦先生に話し掛けた。
「どんな話だ?」
先生は興味深そうに応える。この子はいつも面白い話を聞かせてくれるので。
「私の村に伝わる話です。その昔、大蛇と龍が互いの尻尾に噛みつこうともつれ合いながら村で一番高い太山の麓を通り過ぎていったというのです。馬鹿げた話ですよね。でも、多くの人が一様に言うので、もしかしたらそのようなことがあったのでは、なんて思ってしまいます」
聞き終えた先生は笑みを浮かべながら言った。
「それは、君に相反する二つの心があるためだよ。常識的に考えれば有り得ないことだが、皆が口を揃えて言うのだからもしかすると本当ではないかと」
「仰る通りですね」
「人間というものは皆、二心を持つものだ。それゆえに、政を行う際にはこの二つを考えなければならないだろう」
「全くその通りです」
弟子は深く頷いた。
「高麗時代にこのような詩があったそうだ。まさに君が話してくれた内容そのものだよ」
こう言いながら先生は以下の詩を詠じるのだった。
有蛇啣龍尾 聞過太山岑
萬人各一語 斟酌在兩心
蛇龍 高麗楼*鶏林書笈 @keirin_syokyu
作家にギフトを贈る
雨妹「くれるなら、饅頭がいいです!」
立彬「相手にものを強請る主人公があるか、馬鹿者!」
カクヨムサポーターズパスポートに登録すると、作家にギフトを贈れるようになります。
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます