ただのコメディかと思いきや、物語が進むにつれ、意外な展開に引き込まれます。賽銭泥棒の少女を捕まえた主人公が、彼女の奇妙な言い分を真正面から否定せず、最後には驚くべき結末を迎える。この流れが実に良いです。
特に印象的だったのは、主人公の価値観が少しずつ揺さぶられていく過程です。最初は完全に常識の側に立っていたのに、気づけば少女の言葉に耳を傾け、最善の落としどころを探している。その心の変化に、読んでいるこちらも少女の言葉を信じたくなってしまいました。
クライマックスには驚かされました。最初のユーモラスな雰囲気を残しつつ、しっかりと「信じることの力」について考えさせられる物語です。読み終えたあと、不思議と温かい気持ちになりました。