水面は光る

未 詳

灼熱

私の側頭部に、黒い柱が刺さった。


私の口ほどの大きさがあろうそいつには返しが付いている。


必死にもがいてみたが、私の内側を掻き回すだけだった。いつしか私の体は動かなくなり、息をすることしか能のない肉塊と化した。




私の体は黒い柱に貫かれたまま海面へと向かう。海面に私の体がぶつかる。いつもの想像よりもそれは柔らかく、簡単に割れた。


普段海面の反対側からものが海面を割って落ちてくるのは見たが、どれも動かない。


海面に勢いよく打ち上がった仲間は帰ってこなかった。他の奴らが言うことはわからない。


これはある種の特別な体験なのかもしれない。自分がいつか憧れていた海面、そこに自分で向かう勇気はなく、それに関する情報も無い。


この柱が私を突き刺したおかげで見れるとは、なんたる幸運であろうか。私はそう思うことにした。





あぁ、海面の向こうは海よりも薄い青だったのか。なら、そこまで変わらないのかもしれない。







私の体から水が落ちきった時、私は先程の考えを後悔した。


嗚呼!熱いっ!熱いっ!私の一生涯において、海底火山の吹き出す湯水に皮膚を掠めた時とは比にならない熱さを感じることになるとは!眼球が沸騰し、今にでも灰になりえるような熱が全身に刺さっている!海面の上はなんて辛く厳しいのだろう!


私はもうもたなさそうだ。



しかし、きっと他の奴らは私より大きかったこともあって、この辛く厳しい世界では生きていけるのだろう。






私の頭から柱が引き抜かれた。何が何だか分からない私は、体の表面に冷たい水を感じて、ハッとした。


私は海中に戻ってこれたのだ。私はこの経験を活かし、これから生まれるちびっ子達に伝えていこうと思う。


この世界は無理をしない方が良いと。


私は精一杯に動こうとするが、私の体は言うことを聞くようにはならなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

水面は光る 未 詳 @ginta_ooyama

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ