心に潜む影
天蝶
第0話
ある晩、真夜中に目が覚めたカイは、ふと自分の部屋の窓を見た。そこには、いつもとは違う何かが映っている。ぼんやりとした影が窓の外に立っている。最初は風のせいかと思ったが、その影は動かず、ただじっとこちらを見ているようだった。
気味が悪くなり、思わず目を逸らしたカイだが、ふとした拍子にその影が近づいてきていることに気づく。震える手でスマートフォンを取り、光を当てると、そこにはただの木の影しか映っていなかった。
ホッとしたカイは再び目を閉じ、眠りにつこうとしたが、今度は別の音に目を覚まされた。それは、何かが家の中を引っ掻くような音だった。心臓がバクバクと鳴る。ええと、もし本当に何かがいたらどうしようと、不安が広がる。
再び、勇気を振り絞って声を上げる。「誰かいるの?」誰も応えない。だが、音は止まらない。次第にその音は、部屋の中、主人公のベッドの方へと近づいてくる。怖くなった主人公は布団を被り、目を閉じた。
朝が来て、音が何だったのか確かめるために部屋を見回すが、何も見当たらない。心の中の不安を抱えたまま、カイは外に出ることにした。すると、家の周りには何かの爪痕が無数についていた。
「また、夜になったらあの影が現れたりしないだろうか…」
そう思った瞬間、カイは自分が見た影が実は自分自身であったことに気がつく。窓の外に映っていたのは、自分の影であり、それが近づいてきたのは、自分の心の不安そのものであったのだ。
そして、その夜。再び目が覚めたカイは、同じように窓を見つめ、先ほどの影が自分の心に潜む恐怖を映し出していることを知ってしまったのだ。
心に潜む影 天蝶 @tenchoo
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