本作『愛の縄張りと薔薇』は、同作者の女性視点の物語『溺愛彼氏のキスマーク』を男性視点から描いた作品です。同じ出来事を別の立場から見ることで、恋愛におけるすれ違いや感情の変遷がより鮮明に浮かび上がります。
主人公の三上昌大は献身的で愛情深い男性ですが、その愛は次第に執着へと変わっていきます。彼の視点で描かれるヒロインの百合は無邪気で純粋であり、彼の「守りたい」という本能を強く刺激します。しかし過去のトラウマが原因で「愛」が次第に「束縛」へと変化してゆき、彼女との間に決定的な溝を生んでしまいます。この昌大の心の揺れが繊細に描かれている点が、作品の大きな魅力です。
物語の構成も巧妙です。最初は「尽くす男」としての昌大が描かれますが、嫉妬や独占欲が募るにつれて徐々に彼の心が狂気へと傾いていきます。矛盾や盲点が際立つにつれ、読者は「本当の愛とは何か?」と考えさせられます。
文体は昌大の思考がダイレクトに伝わる語り口で、彼が恋愛の縄張りを広げようとする姿が哀しく、百合とのすれ違いがより際立ちます。そして迎える意外な結末は、読者にどんな感情を抱かせるのでしょう。
恋愛の光と影、愛と執着の境界を見事に描いた一作です。女性視点と併せて読むことで、より深い余韻が味わえる作りになっています。
主人公の男性が本当に「スマートな大人の男性」で素敵です。
こんな男性が近くに居たら、ほっとかれるわけありません(断言
女性を大切にする大人の男性の気遣いとリードがなまめかしく、画面に顔を近づけて興奮気味に文字を追ってしまいます。
お相手の女性も清楚な少女で、大人になり切れていない幼さが初々しいです。
お互いがお互いを大切に思い、溺愛を重ねるトゥルーラブといった前半にメロメロにされてしまう作品です。
また、文章がとてもすっきりとされていて(僭越ながら)無駄がなく、非常に読み易く、作品の雰囲気や情景、二人の感情や気持ちがスーッと頭に入ってきます。
もっともっと評価されて、多くの人に読まれて欲しいと思える作品でした。
オススメさせていただきます。