ボクが天使さまだったら。

ほしのしずく

第1話 ボクが天使さまだったら。

 懐かしいお家の寝室。 


 目を閉じて、眠りにつく。


 あたたかいお布団に、ママのぬくもり。


 隣にはパパがいて。


 ボクの手を握ってくれる。


 ママのお腹には赤ちゃんがいて。


 ボクに会うのを楽しみしているみたい。


 でも、少しだけ気になることがあるんだ。


 この子が生まれた時、世界はどうなっているのかなって。


 おじいちゃんは、戦争はしてはいけない。

 しない方がいい。


 って、言ってた。


 けど、最近ちょっとだけ怖いんだ。


 みんな、イライラしていて。


 お話をすることより、手が出ちゃいそうな雰囲気をしていて。


 戦争はお話だけで知らないし、わからないけど。


 特にね、怖いニュースや動画、怒った人たちの声を、見たり聞いたりする度に、なんか胸の辺りがざわざわするんだ。


 大人になると難しいことがたくさんできちゃうのかなって、ボクなりに考えたんだけど。


 やっぱりよくわからなくて。


 だからね。


 ボクは決めたんだ。


 もうすぐ、ボクは心臓の病気で亡くなってしまう。


 かなしいし、本当はもっと生きたいって思うよ?


 お医者さんになるっていう将来の夢も叶えたかったし。


 だけど、これから生まれてくる赤ちゃんの為に天使さまになろうって、決めたんだ。


 なれるかどうかなんてわからないよ?


 けどね、もしなれたらね。


 お空を飛んで。

 

 弓矢を使ってね。


 このおっきくて大好きな地球に向けて。


 ボクが感じてきた幸せをめいっぱい振りまくんだ。


 短くても、幸せな時間はあるよって。


 お話できることは、幸せなことなんだよって。


 イライラすることより、ワクワクすることを考えた方が幸せなんだよって。


 そんな想いを込めてね。


 そしたらきっと、赤ちゃんが生きていく未来は、みんな落ち着いてお話をして。


 どうしたら良くなるか考えられる優しい世界になるはずだから。

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ボクが天使さまだったら。 ほしのしずく @hosinosizuku0723

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