無骨男と気骨女
たい焼き。
無骨な男と気骨な女
「うわぁ〜、こんなお店になんて普段こないのに……」
今日は彼と付き合ってから4度目の記念日。
普段、彼と外食する時はラーメン屋とかファミレスが多いのに今日はいかにも高そうなフレンチ。
しかも、予約していたのか窓際の夜景がとてもキレイなテーブル席。
わたしの格好もいつものラフなジーパンではなく、少し艶のある淡いピンクのワンピースにパンプス。
彼は……一応スーツを着ているけど、普段仕事で着ているスーツなのかな。少しヨレヨレしている。
せっかくの記念日だし、こういう素敵なお店を予約したのなら、格好もそれなりに合わせて欲しかったな……。
でも、彼なりに頑張っているんだろうし……。
「お待たせいたしました。こちら、鴨肉のロティでございます」
ウェイターさんがコース料理を運んでくれる。
昔、テーブルマナーが学校の授業であったけど、こんな所で役に立つ日が来るなんてね。
そのおかげで、私自身は料理も夜景も堪能できた。
ただ……。
「このスープ、美味いけど何スープなんだろ?」
「……こういうところでは音を立ててスープ飲んじゃダメだよ」
「え、これってどうやって食べればいいの?」
「並んでるナイフとフォークを外から順番に使って……」
「アッ……」
「ダメ、落としたフォークを自分で拾わないで」
「袖にソースが付きそうだよ、気をつけて」
「……あぁ」
彼のほうは慣れない場所と食事で、かなりグダグダ。
一品ごとに私が口出ししている始末。
それに何だか彼の口数が減ってきた。落ち込んでいるのか、私の口うるささに辟易してるのかはわからない。
どうして、無理にフレンチコースなんて予約したんだろう……。
私は静かにため息をつく。
彼はお高く止まらない、素朴なところが魅力なの。
こんな無理矢理背伸びして、しかも背伸びするならマナーとかも一通りチェックしておいて欲しかった。
これじゃ、彼女というよりお母さんみたい。
なんだか疲れちゃったな……。
「あ、あの……」
と、彼がスーツのポケットから紺色のスエードで作られたジュエリーケースを眺めながら、これからの事を考えていた。
無骨男と気骨女 たい焼き。 @natsu8u
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