ウソの骨
澄ノ字 蒼
第1話
とある昔、家でサンマを焼いて食べていたことがあった。よく海の魚は背中から、川の魚はお腹から焼くのが基本らしいとあるがこれも諸説あるので分からなかったので自分流にまずは焼いてみた。
魚は一匹一匹が高くうちでは中々食べられないので魚を焼いている匂いをかいでいるうちにテンションがあがって勝手に足がスキップを踏んでダンスを踊ってしまう。
大根をおろし人参をおろし魚が焼けるのを待つ。白米をよそい、味噌汁をよそう。やがて魚から香ばしい匂いがしてきたので焼いた魚を皿に盛り付ける。
テーブルに座りサンマにすりおろした大根と人参をのせしょうゆをかける。
そして一口。何とも言えないおいしさが口いっぱいに広がる。がつがつと食べ続けた結果、サンマは頭と骨だけになった。それでもサンマを食べたいという欲に負けて頭からかぶりついて骨をかみ砕いて食べ始めた。
すると一本の骨がのどの奥にひっかかった。必死にげほげほとむせるが中々抜けない。
次の日になっても抜けないのでいつも行っている内科に診察に行く。
「はい。どうしましたか。魚の骨がのどにひっかかってしまいまして」
先生は、
「何を食べたんですか」
「はい。ちょっとタイを」
先生はペンライトを手に持つと、
「じゃあちょっと口を大きく開けて」
そうしていとも簡単に骨を抜いた。先生はしばらく魚の骨を見ていたが、
「本当にタイですか?」
そこで僕は
「すみません。見栄を張ってしまいました。本当はサンマの骨です」
先生は、へっへっへと笑うと、
「今の時期サンマ美味しいですよね。僕も好物です」
こうして診察は終わった。
見栄を張りウソをついて痛い目を見た出来事だった。
ウソの骨 澄ノ字 蒼 @kotatumikan9853
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