ホラーファンの見たいものが、ここには詰まっている

 これはもう、ストレートに「怖さ」を味わえる作品だ。冒頭からすぐにそう確信しました。

 ホラーにおける「タブー」。死者を冒涜するとか、禁足地に足を踏み入れるとか。そういうことに抵触すると、決まって悪いことが起こります。
 特に、それをやるのが「他者への経緯を一切払わない無軌道な人間たち」となれば、もはや「地雷原突破中」と呼びたくなるほどのレベルに到達します。

 本作の主人公である石原たちは、土地から出てきた遺骨の類を「迷惑なゴミ」のように扱い、それを廃棄するために輸送していこうと決める。

 果たして、彼らは無事に目的を達成できるのか。

 現実にこんな人たちがいたら、正直この人たちの方も十二分に怖い。こういう人たちって何をするかわからないから、もしかしたら幽霊より怖いかもしれません。
 だからそんな彼らがどんな目に遭おうと、一切可哀想だとは思えません。そしてぐいぐいと「怖い物見たさ」に引っ張られ、最後まで行くことに。

 タブー。それを侵すことによって起こる「何か」。本作では具体的にどんな「何か」を見せてくれるのか。それがとにかく見所でもあります。

 終盤で登場人物の口走る「あるセリフ」や、最終の一行で提示される「未来」など、ゾワリと来る要素も満載でした。
 ホラーファンの欲しいものをふんだんに与えてくれる一作です。