まさか原始人の気持ちに共感することになるとは思わないでしょう。霊感探偵が博物館の怪奇現象を調査するという、一見ホラーミステリーのような導入。しかし物語が進むにつれ、その真相は想像の斜め上を行く展開へと転がっていきます。
主人公は霊能力を駆使する探偵。心霊現象の調査を勢いで引き受けた結果、大変な目に遭います。オカルトには慣れていても、歴史の誤解が生んだ怨念には勝てなかった。その姿はどこか愛嬌があり、読んでいてクスリとさせられます。
そして「彼ら」の熱意もまた笑いどころの一つになっています。科学の力をもってしても正しく伝わらなかったもの。その強いプライドがこんな形で表れるとは。
もし自分が1万2000年後に復元されるなら、やはり誇り高き姿でありたい。そう考えてしまいました。