骨なんて折れないと思っていたのに(悲報)

西しまこ

骨密度低下しています

 わたし、その昔は毎週のようにスキーに行っておりましたの。

 頂上から滑って、派手に転んでも、絶対骨折しませんでした。身体もやわらかかったし、骨も丈夫だったんです。

 そう、「だった」んです……。


 わたし、自分の骨は折れないって、ずっと思っておりました。

 だって、そういう家系で、そういう遺伝子なんですもの。しまこの骨は超合金で出来ているから、決して折れないのよ、くらいの勢いで。


 しかし、骨は折れるのです。


 ある日、わたしは息子を模試の試験会場に送り届けました。

 保護者は、その会場で試験が終わるまで待つ人がほとんどでしたのよ。テスト対策やら塾から説明がありますしね。


 でもわたしはもうそういうのに飽き飽きしていて。

 だって、試験を受けるのは息子。

 わたしじゃないのです。

 ああもう、そんな耳にタコはどうでもよろしくってよ。あとは本人次第でしょう! わたしは帰りますわ!


 そんなわけで、保護者と子どもが並んで向かう道を逆行して、駅に向かいました。

 もちろん、そのように帰る人はわたしだけでした。みなさん、神妙な面持ちで会場の待合室で、塾の説明を聞くのです。


 そう、逆行したのよ、わたし。

 細い道を。

 車道から一段高い歩道を。


 あのね。

 しまこはどんくさいんです。

 運動神経は切れているんです。


 そう!

 足を踏み外して、車道側に落っこちたのです! 転んだのです!!!


 すっごく痛かったです。

 膝も擦りむいたし、何より左手が痛くて。


 泣きながら駅に向かいましたの。

 駅で、夫に電話したの。


「転んだの! 痛いよう。膝も血まみれだけど、左手がおかしいの! すっごく痛い!!」

 休日診療に連れて行ってもらいました。



 左手の小指骨折です。

 


 悲しみにくれました。

 せっかく、庭の柿の木に実がなったのに、左手骨折していると剥くことが出来ません。豊作の年でした。仕方がないのでお友だちにあげました。

 左手の小指を骨折すると、かなり不便で、基本的に料理は出来ません。押さえることが出来ないので、包丁が使えないのです。瓶の蓋も開けられません。折ったのは小指なのに、左手全体が痛い……

 

 涙にくれました。

 わたしの骨は超合金で出来ているから、骨折などしないと思っていたのに……!

 これもそれも、試験のことをないがしろにした罰なのでしょうか?

 いやでもっ!

 わたしが試験を受けるわけではなくってよ!?(葛藤?)



 お医者さんは言いました。

「骨密度が低下しているからねえ。また骨折するよ」

 不吉な予言です……!

「気をつけてね」

 ええ、気をつけますとも!!



 なのに、やってしまいました。



 二度目の骨折は自宅で起こりました。

 しまこはトイレに行こうと、勢いよくドアを開けました。


「痛いっ!!!!!!」


 見ると、ドアと床の間の隙間に、左足の小指が挟まっておりました。

 


 やってしまいましたわ……!



 それが第一の感想ですのよ。

 小指はみるみる変色していきます。

 そして、左足の小指だけでなく、左足はかかとをつくことも出来ません。


 ああ、この感じ! あれですわっ!

 覚えがありましてよ。

 ……骨折……!!!


 悔しいので、予言されたお医者さんには行きませんでしたわ。

 やはり骨折しておりました。

 基本的に固定して、くっつくのを待つだけなので、一回行っただけで、気合いで治しましたのよ。


 だって、ほんとうは超合金のはずなんです!(しくしく)


 そうそう。

 この左足の小指骨折の数週間後にね、白神山地に行く予定があったんですのよ。

 どうしても行きたかったので、「お医者さんに確認したら?」と夫に言われましたけど、確認もせずに行きました。だって駄目って言われても、行くって決めてましたもの……!!


 だいじょうぶ!

 わたしは回復魔法が使えますわっ……!!(嘘)



 骨密度低下しているらしいわよ、わたし。

 でも、特に運動もしていないし、カルシウム! とかも思ってもいませんわ。

 だって、つまらないじゃないですの。

 わたしは幸運の星の下に生まれているから、よろしくってよ。←?


 毎日おいしいものを食べて、漫画や小説を読んで、カクヨムしていればだいじょうぶなのですわ!!



 あ、三回目の骨折はまだしておりません。

 ふふっ。


 勝ちましたわ……!! ←何に?


 でもまあ、もうスキーに行くことはないでしょう。

 大腿骨骨折! とかになったら、泣くに泣けません。

 若い頃の超合金の骨よ、さらば!




 以上、たいへんくだらないエッセイでした。

「回復魔法が使える」とかは、日常的に使っています。

 ……変な人でごめんなさい。

「うちのお母さん変な人らしい」というのは、息子たちはもう分かっているから、安心してくださいませね?



 おしまい☆彡

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

骨なんて折れないと思っていたのに(悲報) 西しまこ @nishi-shima

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ