骨かわら君

sorarion914

心の友人

 うわぁ……


 マジで、スゴイ人数なんだけど。



 一体どういうこと?




 ほら見ろ。

 アイツ、すっかりその気になっちゃって……


 どうすんだよ。

 みんなビックリするぞ。



 お前のせいだからな。

 何とかしろよ。

 え?

 今は奴が不在だから無理?

 未来に帰ったって?


 さっさと呼び戻せよ。

 こんな時にだけ、都合よく未来に帰るなよ……


 え?月に一度のメンテナンス?



 ……ほんと、使えないポンコツロボットだな。



 だいたいさ。

 お前がリサイタルのチケット、隣の学校の連中にまで配るから、こんなスゴイ人数集まって来たんじゃないか。

 なんて宣伝したんだよ?


 え?

 千年に1人の美声の持ち主?

 数々の伝説を打ち立てた地元のアイドル?

 まだ世に知られていない幻の小学生歌手?



 バカだな。

 そんなの、最初の第一声でウソがバレるに決まってるじゃん!



 千年に1人の美声の持ち主?

 人類稀にみる濁声だみごえの持ち主の間違いだろう……


 数々の伝説を打ち立てた地元のアイドル?

 数々の悪行を打ち立てた空き地のアクドウだよ、アイツは。


 まだ世に知られていない幻の小学生歌手?

 絶対世に出しちゃダメな小学生歌手に決まってるじゃないか!



 そんな適当なキャッチコピー付けて配り歩くなよ!



 え?


 全部配らないと、ひどい目に合わすって言われたって?

 ……まぁ……気持ちは分かるけどさ――



 あぁ~もう、どうするんだよ。

 始まっちゃうよぉぉ~






 その時。

 派手な衣装を着た彼が、満面の笑みを浮かべながら、ステージの上から手を振ってきた。




「おーい!そこにいる心の友人よ~!今日は俺の為にこんなに沢山のファンを集めてくれてありがとな!張り切って歌うぜぇぇ!!」






 僕らは笑いながら――そっと耳を塞いだ……。






 【完】



 ※この作品はフィクションです。登場する人物たちが、「あれ?こいつ等ってもしかして……」と思うようなことがあったとしても、例のアレとは一切関係ありません。ご了承下さい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

骨かわら君 sorarion914 @hi-rose

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ