『死神』はたいへん有名な噺で自分も何度か聞いたことがある。
最初はコミカルだった死神がだんだんぶきみな存在になり、最後にその禍々しさがはっきりあらわになってこわかった。
この小説ではそのラストが変わっていて、さわやかな終わり方になっている。
落語の死神との一番の違いは「家族」の存在である。
妻と娘が闇の中の光となって、命の瀬戸際にある主人公を導く。
妻と娘の存在と、死を思うこと(メメント・モリ)が主人公を成長させる。
命の危機にあってなお人が成長する姿は落語というよりホラーの醍醐味と思う。
落語好きな人、およびホラー好きな人におすすめしたい好短編です。