いつも二日目のカレーが、独り歩きしてしまう。
崇期
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皆様、毎度毎度の食事の用意、お疲れ様です。
世に蔓延っている都市伝説的に有名な食べ物に関する噂を取り上げて勝手に検証してみようというのが今回の企画です。
「蔓延っている」の部分ですが、「まんえんっている」ではなく「はびこっている」とお読みください。
また検証についてですが、あくまで文系的な範囲での検証です。科学的ななんやかやはわたくしは門外漢、あるいは門前払いされる人間ですので、いたしません。もし我が家のクローゼットに白衣があったら、戸棚にビーカーや薬品があったら……あったとしても、頭脳がありません。さらに、この文章をよそ様にお見せすることにより、新たに世の人々の迷惑となるような疑問や新説が生まれたとしても、当方は責任が取れないと思います。取れるかな……取れそうな気がするけど……いや、やはり取れない可能性が高いから余計なことは言わん方がいい……取りたいけれど取れないな……取れる、取れない、取れる、取れない……取れ……。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
・二日目のカレーはおいしい
こちら、そもそも一日目がおいしくなかったら成立しないだろう、というのが一つ。「イマイチだな……」と思えるものが二日目においしくなることは、きっとない。
当方、市販のルーを使わずにカレー粉で作り始めてから、「我が家のカレーは本当においしいのだろうか?」は常に疑問でした。家で作れる料理の場合、お店に行ってわざわざお金を出して食べる、という行為が思いつかず、いまだにプロが作ったカレーをほとんど食べたことがありません。これは実に恐ろしいことで、わたしは麻婆豆腐も中華丼も自分の作ったものしか食べたことがないため、もしかすると全然別の料理を勝手に麻婆豆腐、中華丼、と思い込んで四十年近く過ごしてきたのではないかと、それを考えると、風の強い夜はうまく眠れません。
よそのお宅でもカレーライスを呼ばれたことがなく、何度か家族以外の人間にも振る舞ったことはあるのですが、「お世辞じゃなくていいから本音でおいしいかどうか言ってみて」「これって、本当にカレーライスだよね?」などと言いだすとしたら、文芸的にはホラーです。
また、「我が家ではカレーが大人気で、そもそも一日で食べ切ってしまう」とか、「二日目もたしかにおいしいけど、いつもカレーうどんにするから同じ料理という認識が薄い」「給食のカレーは二日目がないじゃないか」などという意見もちらほら。
ちなみに、餃子を大量に作って余らせたことがあるのですが、焼いたものにラップフィルムをかけて冷蔵庫に入れて翌日食べてみたところ、餡の味が濃くなっていて、すごくおいしくなっていました。
とすれば、「餃子も二日目がおいしい」ということになります。もしかすると、ほぼすべての料理に当てはまる──そのことについて考えたことがありますか? あなたは、カレーだけを特別視していたのではないでしょうか?
「日にち薬」という言葉を聞いたことがありますが──ネットで調べてみると、関西で使われている言葉らしいです──日にちが経過すれば、ケガや病気(悩みなど心の問題も含む)は回復する、という意味だそうですが、料理に関しても「日にち効果」があるというわけですね。
私たちは今日の食事を作っているのではなく、明日の食事を作っているのかもしれません。「昨日なに食べた?」は、「
・フランス料理を食べた後、家に帰ってお茶漬けを食べてしまう
フランス料理店……行った記憶がありませんが、バターがたっぷり使われていて、胃がもたれた、と誰かが言っていました。しかし、これは「胃がもたれたから、さっぱりしたくてお茶漬けを食べた」ではなく、「高級な料理はお皿にちょこちょこ乗っているだけで量が少なく、物足りない。結局、家に帰り着いたらお腹がすいてしまい、日本人はやっぱりご飯だよね〜、と追加で食べてしまった」という話でしょう。
くわしく調査できていないのですが、これは「庶民の笑い話」の一種ではないかと思われます。つまり創作。実話にしては「フランス料理」の部分が出来過ぎです。世間一般の方がそれほどフランス料理にありついているとしたら、わたしは肩身が狭いです。収入や付き合いの問題?
それから、会社の飲み会などで、わたしはお酒を飲まないのとおしゃべりに忙しくて(どちらかと言うと他人のおしゃべりに相槌を打つのに忙しくて)、いつも料理を満足に食べられないことが多く、家に帰ってやはりなにか食べることになります。そのときもお茶漬けは食べません。お菓子とか食べますね。「お茶漬け」って、用意するの結構めんどうな料理ですよ(お茶漬けといえば、いかにもそそられるお茶漬けのコマーシャルが以前話題になりましたが、もしあれがペットボトルのお茶をとぷとぷ注いで作っている映像だったらとしたら──自主規制)。
・田舎の人は餅が好き
勝手に決めつけないでください。田舎の人がかわいそうです。都会にも田舎出身の人が移り住んでいるのでしょう? 「餅」とか「芋」とかは、たしかに田舎っぽい。では対義語は「レンチンご飯」「ハンバーガー」とかでしょうか? 「都会の人はハンバーガーが好き」──いや、あんまり聞いたことがない。
話が食から離れますが、「不良はお祭りが好き」も、かわいそうなイメージだな、と聞いたときに思いました。
・こたつにみかん
家でこたつを使っていないので、うちの子が「おこたにみかん」に憧れているのよ〜、と知り合いがおっしゃっていました。日本人が日本の文化に憧れる……。でもここでわたしが、「簡単に叶うのに」と言ってしまうと問題があるでしょうね。電気製品や家具を新たに買い足す、は一般家庭では簡単にできることではありません。
ただ、「こたつに猫」「ストーブにやかん(おでん鍋)」みたいな感じですよね。花札だと「
ちなみに、我が家ではこたつを毎年使っています。住まいは九州ですが、十月下旬か十一月上旬ごろにこたつを出し、五月上旬くらいにしまい込みます。こたつの上にいつもあるのは「リモコン」と「鍋敷き」です。その子の夢が叶うといいな、と思います。
・好きな食べ物は? と訊かれたときに商品名を言うのはやめて
これはわたしの個人的な言葉、意見です。芸能人のプロフィールを見たときに、書いている人を見ただけでその人のことが嫌いになるくらいの偏見があります。別に「自炊が善」とは言いませんし、わたしもスーパーのお弁当やお惣菜は食べます。しかし、「食生活、大丈夫?」と不安になるのです。この質問者が答えてほしいのは、「好きな食材」「好きな料理名」です。それくらい察してください。もし「ポッ◯ー」が大好物というのなら、「お菓子が好き」「チョコレートが好き」と答えましょう。それはそれで心配ですが、「お菓子しか食べない」というのは、よく漫画でキャラクターの紹介ギャグとして使われるものです。そう、ギャグでしか使えません。本気で言ったら怒りますよ?
・カレーは飲み物
この、「◯◯は飲み物」のフレーズ、かなり有名になってきましたね(そしてまたカレーかよ!)。多分、今まで有名だったのは「◯◯は別腹」だったのではないでしょうか。それの上位互換ならぬ脅威互換。それとこれとは違くない? という意見もありましょう。しかし、わたしからすると、「水を飲んでも太る」というのと似ている気もするのです。つまり、大食漢(
正直に告白しますと、わたしは胃弱であり、少食です。痩せています。早食いは早食いです。それは家で、「仕事ができる人は食事が早い」などという、これまた迷惑なフレーズを聞かされて育ち、わたしはわたしで社畜の雰囲気を持っているため、「お昼はさっさと済ませてお昼休憩中にも午後の仕事の準備をしたい」という理由から、食事量は少ない方がよく、そしてよく咀嚼しない、という不健康をくり返しています。
なので、うわばみ的な食事をするのはよろしくない。「◯◯は飲み物」は言葉的にはキャッチーでおもしろいですが、歓迎できません。逆の意味の言葉としては、「牛乳は飲むのではなく、噛む」とかでしょうね。
・カレーにチョコレートを入れるとおいしい
入れて作ったことがあります。やはり、チョコレートの味がしました。おいしいとは(わたしは)思いませんでした。わたしがカレーを作るときに入れてみて、特においしくなると感じたのは、トマト(これは絶対に入れる)、カラメル(砂糖を焦がしたもの)、バターです。カレールーで作るなら企業がいろいろ入れてくれているので、そもそも何も加えなくていいんですよね。なので、カレー粉で作る場合の話です。ベースの調味料はどうしているかと言いますと、コンソメの素、塩、ウスターソース、ケチャップ、醤油ですね。とろみは小麦粉と片栗粉でつけています。これだけだとやはり物足りないので、いろいろ足すわけです。たまたまバナナと赤ワインを入れて作ったとき、自分史上最高においしいカレーが出来上がったことがあったのですが、それ以降、同じように入れても感動がありませんでした。なぜでしょうか? ヨーグルトもよさそうですが、わたしは入れません。牛乳も入れないかな……。
それと、ルーを使わない場合のデメリットが一つあります。野菜を炒めるときのオリーブオイルとバター、お肉の脂はしっかり入っているのですが、「消化がものすごく早い」です。まさに「飲み物か!」というくらい。なので時間をおいて二回目の夕飯を食べなきゃならなくなる。もしかすると、カレー粉のスパイスが胃を刺激して、食欲が湧いているのかもしれません。フランス料理後のお茶漬けみたいな話になってしまった。カレーのほかにサラダなどの副菜がどうしても必要ですね。
・納豆をあまり食べないので福岡県の人はよく骨折する
これはテレビ番組で特集されていました。最初に知ったとき、非常にびっくりしましたね。ネットで調べてみたところ、以下のデータがありました。
*納豆の消費量全国ランキング……九州各県、見事に下位。
*骨折患者数全国ランキング……九州各県、見事に割高。
わたしは福岡県民です。納豆は好きですし、給食にも出ていました。周りにも「納豆が嫌い」と言っている人は少なかったです。しかし、毎日は食べませんし、頻繁にも食べません。食べない理由はいつもこれ、「他におかずがあるので」。
納豆に含まれるビタミンがカルシウムの吸収をよくするとかで、骨折と食生活の関係は知られているようですね。
わたしは骨折は未経験です。スポーツをあまりやっていないということもありますが、まあ、骨折は日常生活でも起こりますからね。ところが、わたしの周りの方、職場の方ですが、結構手足を骨折している人が多いです。「次はあなたの番ね」という冗談を言われたこともありました。わたしは他県で働いたことがないので、これが割合として多いのか少ないのか、なんとも言えません。ごめんなさい。
骨折から離れますが、納豆に関して、わたしは「カレーに納豆」が大好物です。カレーライスのときは普段食べない納豆が恋しい。これは子どものころ、カレーが辛いので生卵を落として食べていた経験から来ています。生卵のおかげで辛味がまろやかになるんですね。納豆のネバネバは生卵の白身と似ており、カレーと一緒に食べるとやはりまろやかになっておいしい気がします。それから、カレーを食べた後のコーヒーはすごく合う気がする。納豆とコーヒーはカレーの必須アイテムと言ってもいいくらいです。あ、またカレーの話に戻ってしまいましたね……。
ほかにもたくさんの食に関する噂がありましょうが、この辺で終わりにしたいと思います。皆様が知っている噂、カレーに関する名言珍言がありましたら、ぜひ教えてください。次回、検証してみたいと思います。
皆様の食卓が健康でありますように。
いつも二日目のカレーが、独り歩きしてしまう。 崇期 @suuki-shu
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