マジカル☆極道 〜巻き込まれた男は実は全然喋ってない〜

竜胆の星

いや怖えーよ


 これは夢だろうか………?

 そう思ってしまうほど目の前の光景は非現実的だった。


 先ほどまで晴天だった空が突然、赤紫?のような異様な色に染まったかと思ったら、俺の周りにいた人達がその場で倒れだした。

 困惑と驚きで立ちすくんでいたら今度は俺の後方で爆発音が響き、次の瞬間俺は吹き飛ばされた。倒れ伏した後、そのままの姿勢で爆発した方を見やると、つい先ほどまで買い物をしていたショッピングモールが見るも無残な姿に変わっていた。

 そして……もはや瓦礫と化したその残骸の上空にの存在がいた。


『……マダニンゲンガイタカ』


 そしてソイツは俺の姿を確認すると、無造作に腕を振り抜く。その腕はまるで鞭のように伸び、俺に向かって一直線に──────





「させるかよぉ!!!」


─────当たる前に、誰かが俺の前に立ってその腕を弾き飛ばした。

 俺の目の前をひらりと舞ったのはピンクのスカート。そのはピンクを基調とした衣装(ワンピース?)を着ていた。頭にはトンガリ帽をかぶっている………コスプレ?何かのアニメキャラ?と思いつつ、その姿はまるで魔法少女のようだと────








「───怪我はねぇか?おにーさん、安心しな……アタイが来たからにゃあもう野郎の好きにはさせねぇ!!!


 来な!ど腐れ『アクルン』共!アタイがぶっ殺してやるよ!!!」




 いや口悪すぎるだろ。


 何?誰なのこの子?

 ……背丈的には中学生ぐらいか?さっきも思ったがほぼ全身ピンクの格好だ。髪色までピンクだし…ここまでピンクの格好してるのは戦隊ヒーローのヒロイン枠か林屋夫妻しか見たことないな……いやまぁ非常に可愛らしい見た目をしているのだが、口調が粗すぎてびっくりしたわ。ヤンキー?

 いやそんなこと今どうでもいいわ。何なんだ?何か変なことに巻き込まれてる?撮影……なわけないよな……夢……ふっ飛ばされて全身が痛いから多分夢じゃない……よな?


「無事ですかいプニ?お嬢」

「おう遅かったじゃねーか『カフェモカ』」


 何か来た。

 え?ハムスター?ハムスターかあれ?羽がはえてるハムスターが飛んで来て喋ってる……


「すいやせんプニ。結界と住民の避難に時間がかかってしまいやしてプニ──む、そちらの坊ちゃんはどなたで?」

「あぁ、一般人カタギのおにーさんだ。逃げ遅れちまったみたいでよぉ。カフェモカ、魔法が甘かったんじゃねぇか?」


 今この子、一般人のことカタギって言った?


「ちょいとお待ちを……なるほど、どうやら坊ちゃんは魔法への耐性があるようだ。魔法少女であるお嬢ほどにはないにしろ、あっしの魔法を無効化しちまったようですプニ」


 よくわからんハムスターにジロジロ見られながらよくわからんこと言われた。

 とりあえずこの子はほんとに魔法少女らしい。ってことはこのハムスターはあれか?よくあるマスコット枠というか使い魔か何かか?

 高めだが声的に男(オス?)みたいだな。名前はカフェモカか……見た目と名前は普通にかわいいけど────


「坊ちゃん、申し訳ねぇプニ…どうやらあっしらの戦闘抗争にアンタを巻き込んじまったみてぇだ……プニ」


 今こいつ、戦闘のこと抗争って言った?漢字に漢字の振り仮名つけた?


「坊ちゃんがお望みとあらば、エンコの一本や二本────」


 いや怖い怖い怖い。エンコってあれだろ?指を切るってことだろ?怖すぎるわ。どこの世界に指を切って詫び入れるマスコットがいんだよ。見た目と名前のギャップも含めてエグすぎるわ。

 俺は『NO』の意味合いを込めて全力で顔を横に振る。


「しかし……」

「おにーさんがいいって言ってんだ、素直に受け取りな────それより、巻き込まれてるのはこのおにーさんだけなんだよな?」

「ああ、それは間違いねぇですプニ。あっしの張った結界は中にいるカタギの方を眠らせて結界の外に転送する魔法………坊ちゃん以外の方々が転送されたことは確認しやしたプニ」

「ハッ!それなら単純だ!このおにーさんはアタイらが死んでも守る。そしてあのアクルンクソもぶっ殺す。それだけの話だ!」


 発言が荒いというか男前だな……

 つーか最初の空が赤紫になったり周りの人が倒れたりしたのお前の魔法のせいなんかい。完全にあのアクルンとかいうやつの仕業だと思ってたわ。

 …………てかあの怪物──────────





「ソロソロハジメヨウカ」

「あぁいいぜ……かかってこいよ!」


 めっっっっっっっっちゃ待ってくれてたな。

 俺らがやりとりしてる間ずっと腕組んで空中に浮いてたもんな。俺、この二人の会話聞いてる間こいつがチラチラ視界に映ってたから、いきなり襲ってくるんじゃないかと内心ずっとびくびくしてたわ。


 にしてもアクルンだっけ?改めて見るとすごい筋肉だな……二足歩行の牛、ミノタウロス型の怪物ってとこか。立派な角も生えてて、見るからにバリバリの肉体派タイプ───────


「モットモ、コノイチゲキデオワリダガナ」

「あぁん……!?」

「クラウガイイ!悪魔法奥義!荷電粒子砲カデンリュウシホウ『ブルーレア』!」


 何かいきなり両手にエネルギー?をためだした。てか完全にかめ〇め波の姿勢じゃねーか。バリバリの遠距離攻撃かます気じゃねーか。魔法の奥義でなんで科学技術の結晶みたいな荷電粒子砲撃てるんだよ…………あとどうでもいいけど『ブルーレア』ってステーキの焼き加減じゃない?

 とか思ってたら魔法少女の子が俺の目の前に立ち、両手前に突き出した。


「お嬢!?受ける気ですかいプニ!?」

「当然!漢の全力……真正面から受けなきゃ女が廃るってもんだっ!!!」


 そんなことないと思う。てかこれこの子が受け切ってくれなきゃ俺死ぬな……


「ゼァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」

ってくれよ!アタイのからだぁぁぁ!

 魔力全開!『マジカル☆シールド』!!!」


 怪物が放ったかめ……レーザーに合わせて少女が正面にシールドを展開した。それは大きなハート型のシールドで……いやかわいいな。

 そしてレーザーとシールドがぶつかり合ったその瞬間、辺りは爆風と閃光に包まれて───あ、いやこれやば────────────









「─────────────ぅ」


 ……………………………………ん


「────────坊!しっかりしろ!プニ!」


 ……………ん…………んん?ここは?


「坊!目が覚めたか!?」


 うお!?………びっくりした。ハムスターの顔面が目の前に迫って来てた………普通にかわいい。

 じゃなくて、えっと……あぁそうだ魔法少女のシールドとミノタウロスもどきのレーザーの衝突の余波に巻き込まれたんだった………字面に起こすと意味わかんないな。

 ここは……瓦礫の山?辺りに怪物は見えないし、気絶した俺を連れて身を隠してたってとこか……


「よぉおにーさん、おはようさん」

「坊──坊ちゃんに目立った外傷はないようだプニ………お嬢は?無事ですかい?」


 声が聞こえた方を見ると、少女が瓦礫を背に腰を下ろして座っていた。衣服や体の所々がホコリやすすで汚れており、肩で息をしている。かなり消耗してるようだな。


「あぁ……問題ねぇ、精々────────




 肋骨あばらが二、三本……逝った程度だ」


 重症じゃねーか。


 いやバトル漫画とかでよく言ったりされるけど普通に重症だからね?動いちゃ駄目なやつだからね?

 てか何でレーザー爆破で肋骨が折れるの?吹き飛ばされて瓦礫にぶつかっちゃったとか?


「お嬢……『マジカル☆シールド』に併用して使ったんですね?『マジカル☆エクスチェンジ』を……プニ」

「まぁな」

「『マジカル☆エクスチェンジ』、魔力を急激に上昇させる魔法……まったく、無茶が過ぎやすよお嬢」


 いや怖いよ……

 何そのヤバい魔法?自分が傷つくのと引き換えに他の魔法を強化するってこと?だとしてもそれで助骨が折れるとかリスクデカすぎるだろ。魔法少女が使う魔法じゃ絶対ないって………


「それに出力も出し過ぎでさぁ、いくら坊ちゃんを守るためとはいえ───」

「おい!…………そういうんじゃねぇ、アタイが勝手にしただけだ」

「!…………すいやせんプニ、差し出がましいことを言いやした」


 あ………これ俺を守るために無茶した感じだ……

 ……しかも俺が責任感じないように、自分の独断でやったことにしようとしてる。年下の子に守られてる上に気まで使われるとか申し訳なさ過ぎる……

 マジすいやせん…………


「お嬢、ここは一度引いた方がいいかもしれやせんプニ」

「あ?逃げろってか?」

「元々坊ちゃんを守りながらの慣れない抗争、今のお嬢は負傷を抱えている上に……あの野郎は今まで戦ってきた奴らの中でもかなり強い……分が悪過ぎやすぜプニ」

「ハッ!それが何だ?関係ねぇよ勝てばいい!」


 揉めだしたな……正直カフェモカの言う通りだと思う。現在進行系で一番足手まといの俺が言うのもなんだけど、無茶だと思うよ……助骨折れてるんだよ?


「お嬢……勇気と蛮勇は違いやすぜ?お嬢のその勝ち気なところは買いやすが、無理を、無茶を通せばいいってもんじゃ────」

「カフェモカ─────

 違う、これは

「…………勝算があるプニか?」

「ねぇよ、そんなもん。

 だが確信はある……ここは、ここだけは……芋引いちゃなんねぇ!」

「どうして……何もビビって逃げるわけじゃないですよプニ」

「確かに、一度逃げる方が正しい選択かもしれねぇ……だがそれをしちまったら、になっちまう。不利になった途端、逃げるようにな。

 闘いが続く限り、きっと同じような場面に出くわす、勘だがな……無茶をしねぇと勝てねぇ時が必ず来る」

「それは……そうかもしれやせんが!」

「カフェモカ!……お前がアタイに無茶をさせたくねぇのは分かってる。だがな、お前だったら逃げるか?お前が戦っていたとしたら……尻尾巻いて逃げんのか?」

「!っ……アッシとお嬢じゃ違いやす……プニ」

「ハッ!そうだなぁ性別どころか生き物としてお前とアタイじゃまったく違ぇ………






 だがな………

「!」

「お前も、アタイも…なんだよ。そういう生き方しか……出来ねぇんだよ」

「お嬢………………」






 ……………何かすごい熱いやりとりが展開されてる。もう俺めちゃくちゃ空気になってる。



「それに、あの強ぇ牛なら親玉ケツモチの情報を持ってるかもしれねぇ……借りがあんだろ?」

「それは……」

「詳しい聞く気はねぇ……だが情報があるかもしれねぇ好機なら見逃す手はねぇだろ」


 何?敵のボスとカフェモカって何か因縁があるの?てかケツモチって………


「確かに奴は……奴だけは……アッシがらなきゃなりやせんプニ。

 アッシはそのために、こちらの世界へ来たんですから─────────」
















〜 二ヶ月前 〜 【妖精の国】




 あ、え?頭に何か映像が浮かんでくる……

 え?何これ?回想に入る感じ?














『モカ……アンタ、こんな夜更けにどこに行くつもりだい?』


『……………カフェラテ姐さん

『言っただろう?にアンタは───』

『姐さん』

『………気持ちは分かるさ、だがね………』


『姐さん、どうか止めないでおくんなせぇ…プニ。

 奴は……カプチーノあのバカはここに………





ハムッチュ♡ガーデンウチの組の顔に泥を塗りやがりやしたっ!!


 代々、ウチの組で護って来た【禁忌の魔法】を盗んで逃げやがった!

 その挙句!っ………挙句っっっ!!!』

『……………』

姐さんの弟エスプレッソの兄貴にッッッ!!!手をかけやがった!!!』

『モカ…………』

『ゴミみてぇに捨てられてた俺らを拾い!家族のように受け入れ!面倒をみてくださった兄貴をりやがったんだ!!!

 仁義も人情もありゃしねぇ……!あいつだけは許しちゃおけねぇ!!!違いやすか!?姐さん!』


『……分かってるさ、ウチらにもメンツがある。カプチーノの馬鹿には必ず報いを受けてもらう。

 だがね……モカ、その役目をアンタに任せたくはないのさ……そいつはあまりにも……酷ってもんだろう?』

『………』

『喧嘩こそ多かったがね……アンタとカプチーノは兄弟同然に育った仲じゃないか……互いを信頼しあってた。それは近くで見てきたアタシと………エスプレッソがよく知ってる………そんなアンタ達がたまを取り合うなんて……そんな真似、させるわけには─────』

『だからですよ……姐さん』

『!』

『他の誰にも……させねぇ……!

 カプチーノあのバカの裏切りに……暴走に、ケジメをつけさせるのはアッシじゃなきゃいけねぇんです……

 奴の土手っ腹に風穴ブチあけてやんのは!!アッシじゃなきゃならんのです!!!』

『モカ…………』

『だから……どうか止めないでおくんなせぇ』


『バカだね………アンタも…………





 …………カプチーノなら、恐らく人間界にいるだろうね』

『!人間界に!?』

『アイツが持ってった魔法はね……人間を【アクルン】という怪物に変えちまうもんなのさ』

『人間を…………』

人間界あっちじゃ妖精族アタシらはロクに魔法が使えない………だから………』

『人間と契約するしかねぇって……ことですね?』

『ふん………こんな面倒に付き合うお人好しバカがいたらの話だがね』


『恩にきやす……姉さん。

 アッシはアッシの筋を……通していきやす。







 ……………どうか…………達者で』


『……………

 アンタには、ね………………覚えときな』


『………………………………………………プニ』



















〜 現在 〜 【人間界】








 あ、終わった………いや、まぁうん……………







 ほぼ任侠者の話じゃねーか。


 話の内容クソ重いのにハムッチュ♡ガーデンとか全然雰囲気に合わない単語出てきて脳がバグるわ。あと主要人物の名前なんでコーヒー関連?


 ………つまりあれか?幼い頃から一緒に育った兄弟分が特別な魔法を盗んだ挙句、拾ってくれた兄貴分まで殺して逃げたと………

 で、カフェモカはそいつを追って人間界に来て、この子と契約し、アクルンって奴を倒しながら足取りを追っていると………そういうこと?


 魔法少女の設定じゃねーよ。いや設定って言ったらあれだけど、妖精的な立ち位置の目的が重すぎるって………


「アッシには確かに目的がありやすプニ、ですがそのために─────」

………だよ、アタイがアンタに手をかそうと思ったのは」

「?…………目、ですかい?」

「あぁ……『何としてもやり遂げる』そういう強ぇ意志を感じた……メラメラと燃え滾る熱い目を見て、アタイはヤラれちまったんだ。

 カフェモカ、アタイはアンタの相棒だ。


 ─────────────信じろ」

「!」

「アンタがすべきなのはアタイが無茶をしないようにすることじゃねぇ!無茶も無理も何でも共にして死ぬ気で勝つことだ!

 それが相棒ってもんだろうが!!!」



 おぉ………また熱いやり取りが………でもやっぱり魔法少女のノリじゃない気がする………


「────そこまで言われて……芋を引いちゃあ漢が廃るってもんプニ…………

 感謝しやす、お嬢」

「おうよ!」


「まったく…………まっすぐで素直なお嬢さんかと思ったら、とんだじゃじゃ馬だったプニ」


 いやこんな荒い口調の時点で大人しいお嬢さんなわけないと思う。


「ハッ!乗りこなしてみせな!

 女の上に乗るのは得意だろぉ?色男!」

「ロデオはごめんでさぁ─────

 それに、そいつはベッドの上だけの話プニ」


「ハッ!そうかい…………行くぜ、相棒っ!」

「フッ…………承知プニ!」


 何今のやりとり……

 女子中学生がやる掛け合いじゃないよ?

 はしたないですわよ?


 ていうか今更だけどカフェモカの語尾、無理矢理すぎない?喋り方と合ってなさすぎて後から付け足してる感が半端ない。回想の時はほぼ言ってないし……


 とか思ってたら少女が飛び出して行った。え〜とミノタウロスみたいなアクルンは………あそこか。


「ヤットミツケタゾ…!クラエ!」

「うおっ!?と!ハッ!ちっ!ウザってぇ!」


 少女を視認した瞬間、なんか……腕をビヨンビヨン鞭みたいに伸ばして攻撃を仕掛けて来たアクルン、少女はそれを躱しながら突っ込んでいく。

 やっぱり遠距離攻撃をするのかよ。その筋肉何なの?…………いや、そういえば最初に俺に攻撃してきた時も腕のばしてたわ。

 

「うおおおおおおおおお!!!もうちょいっ!」

「サセルカ!」

「ぐが!?」


 順調に敵への距離を詰めていった少女だが、途中で攻撃を当てられて後退を余儀なくする────

 あ、いやすぐにまた突っ込んだ。


「ムダダ!」

「だらぁ!『マジカル☆ナックル』!」

「ナニ!?」


 おっ今度は必殺技?のパンチで鞭を弾いた。


「オノレ!ナラバ!『加速する鞭アクセレート・ウィップ』!

『レア』!」

「『マジカル☆ナックル』!」

「『ミディアム』!!」

「『マジカル☆ナックル』!!」

「『ウェルダン』!!!」

「『マジカル☆ナックル』ぅぅぅぅ!!!」


 あの子他に攻撃技ないの?一辺倒すぎるだろ敵は色々やってんのに……いやアイツもアイツでステーキの焼き加減ばっかだけど。


「お嬢には遠距離攻撃がないんですプニ」


 …………聞いてないのにカフェモカが何か言い出した。いや気になってたけど。


「【魔法杖マジカル・スタッフ】の適性があまりなく、お嬢自身も性に合わないようで……」


 あぁちゃんと魔法の杖みたいなのもあるのか、無いと魔法少女って感じがしないもんな。


「ついでに言えば初の抗争時にアクルンの頭を杖で直接かち割って──へし折ってしまいやしたプニ」


 何やってんだ。


「よってお嬢は完全な近接戦闘型、それも武器を持たない徒手戦闘ステゴロスタイルになりやした」


 もはやそれ魔法少女なの?


「ですが安心してくだせぇ、野郎の懐に入ったお嬢は強いですぜ……いろんな技も使えやすプニ」


 あぁそうなんだ……流石にパンチだけじゃないんだな。

 おっと、いつの間にかあの子アクルンのすぐ近くまで迫ってるな。加速する鞭アクセレート・ウィップ、パンチ一辺倒に突破されたんかい。


「うおらぁ!『マジカル☆キック』!」

「グホッ!?」


 ハイキックが顎に入ったな。


「『マジカル☆ブロー』!」

「ゴホォ!?」


 キックした勢いのまま一回転してボディブローが決まった。アクルンの体がグラつく。


「ふぅっ!『マジカル☆ニー』!」

「ギャビ!?」


 ボディブローを喰らって下がってきた頭の角を両手で掴んでそのまま顔面に膝蹴り……攻撃のコンボエグくない?角折れてるし………


「オォォォォ…………!」

「いくぜ───────!必殺っ!!!



 『マジカル☆───────────

 ─────トリプルナックル』ぅぅぅぅ!!!」


「グボホォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!???」



 おぉ!正中線三連撃だっけ?

 綺麗に決まったな────────じゃなくて、もう俺格闘技の解説してたよ?ほんとに殴る蹴るしかしないし、『マジカル☆』付ければ何でもいいと思ってない?結局パンチで決めたし。

 あ……殴り飛ばされたアクルンが消えていく……アイツ接近戦マジで弱かったな……サンドバッグ状態だったぞ。この子が強いだけかもしれないけど。


「あっ!おい待て!消える前にテメェの親玉ケツモチの話を───ぐっ!?」

「お嬢!」


 胸の辺りを抑えて少女が突然苦しみだす。その場で膝をつき、口の端から血が滲んで……吐血!?


「お嬢!ご無事で!?」

「ゲホッゲホッ………あぁ大丈夫だ………骨が変なとこ刺さっただけだ」


 いやそれ全然大丈夫じゃないわ。

 そうだよそもそもこの子助骨折れてたじゃん。そんな状態であんな動いたらそらそうなるよ……


「さっきより折れてるじゃありやせんか!?」

「あぁ、最後の一撃に全力込めたからな」


 あの魔法また使ったんかい。つーか何?助骨から使われていくの?だから怖えーて……何であの子も躊躇なく使えるんだよ。


「てて………ちっ、アクルンの奴完全に消えちまいやがった」

「仕方ありやせん。奴の足取りならそのうち掴めるでしょう……それより結界を解除しやす。お嬢も変身を解きやしょう、そうすれば全快しやすプニ」

「あぁ、そうだな」


 あ、変身解いたらダメージ回復すんのね。それならちょっと安心……


 そんなことを思っていると、空がどんどん綺麗な色に戻っていき、崩れていた建物も何事もなかったかのように修復されていく──────なるほど、結界の中での出来事は現実では反映されないのか。


「あ〜終わった終わった」

「お勤めご苦労さまです。お嬢」


 それ久々にシャバに出た人に言うやつだろ。


「長ぇこと付き合わせちまったなおにーさん」

「坊ちゃんもお勤めご苦労さまですプニ」


 こちらに話しかけてくる少女、当然顔立ちは同じだが髪型は茶髪のショートカットになっていた。服装も制服らしきものに変わっている……変身を解いたらこんな感じか、まぁ普通の中学生だな。

 …………いや正直おっさんとかが変身して美少女になってるパターンとかも予想してたけど……普通に女子中学生なんだ……それであの口調なんだ……


「とはいえ……おにーさん、アンタは知っちゃいけねぇこと知っちまったなぁ?今回のことは口外させる訳にはいかねぇ」


 ん?いやまぁ確かにそうかもしれないけど、誰もこんな話しても信じな─────────





「ってことでおにーさん…………


 海と山ぁ……………どっちがいい?」




 ………………………???

 いやどっちがいいって何のはな──────



 ────────────────あ(察し)





「………ハッ!なーんてな!冗談だよおにーさん!

 ん?おにーさん?」

「気絶してやすね…………プニ」






 いや怖えーよ


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マジカル☆極道 〜巻き込まれた男は実は全然喋ってない〜 竜胆の星 @rindou-no-hoshi

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