猫との戯れ

歩く屍

第1話 生きる全てが美しく

「ニャ〜」

「にゃ〜」

「ヴワゥ?」

「何て?」


 病院を抜け出して、ブラブラと気ままに歩いていると、この子に出会った。

 花壇からでてきたは、人懐っこい性格なのか、身体をこちらに擦っては頭を撫でるように要求してくる。


 猫は13年から長くて20年まで寿命があるって、本に書いてあった。


「私は……いつまで、生きることが出来るんだろう」


 中学2年の時に癌が見つかり、余命宣告を受けた。


 やりたい事の為に時間を使いたい。

 気持ちを家族へ口に出そうとしたけど、私が相手の……ましてや親だったら、延命処置はもういいなんて、許してくれないに決まっている。


 病室で寝ることが殆どで、筋力と体力の衰えた身体で、体調がましな時を見計らっては外にでて散歩する。


 息が上がろうが関係ない。

 今、自分の意志で動いているこの瞬間が、時間を使っている。

 生きていると思わせる。


 しかし、5分、10分、歩いただけで疲労感が凄く、無理をしすぎる前に病室に戻る事に。


 猫は足元で戯れながら、そのまま病室にまで着いてくる。

 行かないでと、しがみつくようにして全く離す気配がない。

 引きずりながら、悪いと思いながらも病室までそのまま戻る。


「どうしよう」


 動物病院でもないここでは、厄介扱いだ。

 どうにかしないといけない。


「お願い、嫌な思いをする前にさ、にゃんにゃん退いて」


 しかし、人の言葉は届かず、ただ私の手で遊んでいた。


 何度離そうとしても、足の上に乗り、腕にしがみつき、頭の上に乗る。


 人より長く生きないにゃんにゃんでさえ、のびのびとしたような様子で生きている。


 頭の上に乗ったこの子のように、私もまだ生きることを諦めてはいけない気がする。


 これは小さな命を持つ友達から教えてもらった、私の一日の話。


「諦めず、生きてみるよ。それでも、先に逝ってしまうかもしれない。長生きしてね、私は何して遊ぶか、それまで考えておくから」 


 大切なことを教えてくれたにゃんにゃんと約束を交わす。


「またね、大好き」


 猫は約束を交わすと、その場を後にする。

 私は夢を見る。

 また長い時を生きた後で、精一杯生きた後で、あの猫と再会できることを信じて。






































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