【詩】Happiness of Solitude
森本ヴィオラ
Happiness of Solitude
バスに乗って長い山道を登ってきた
上り坂の途中のバス停で一人降りると
霧がたちこめ 背の高い木々の葉を潤わせている
聞こえるのはオオルリのさえずりだけ
さっきまでごちゃごちゃとしていた私の思考は
たちまち静寂となり
目の前の光景に心奪われながら 無意識に歩を進める
山の奥にあるのは ガラス張りの美術館
等間隔に並べられる絵画
それに沿って等間隔に移動しながら
頭の中で独り言をいう私
アンリ・ル・シダネルの 「Le Pavillon」という作品
暗闇の中にぽっと灯る家の明かり 咲きこぼれる淡いピンク色の薔薇
あの小さな窓の奥には誰がいるのか 興味を掻き立てられる
それは物語の一瞬を切り取ったようであり
その物語はたぶん現実に起こったことではないけれど
現実の私たちの心を救うような
ーーそんな物語なはず
「孤独な幸福」という言葉が頭に浮かんだ
思えば
森の静けさと芸術の神秘は似ている
どちらも
生きるのに必要な安らぎをもたらしてくれる
それをル・シダネルも知っていたのではないか
【詩】Happiness of Solitude 森本ヴィオラ @morimoto_viola
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