薔薇色の耳飾り〜中央島の少女〜
青樹春夜(あおきはるや:旧halhal-
薔薇色の耳飾り
シキは宝飾品を作っては馴染みの店に卸すことで生活の糧を得ている。
彼女の作る宝飾品は中央島で採れる宝石や貴石を使っており、なおかつその石の持つ力を存分に引き出すことで重宝されていた。
だからというわけではないが、シキは若手の職人らしく荒削りなところもあり、特にデザインの面では常に学ぶ立場である。
馴染みの店——『
——綺麗。
小指の爪ほどの小さな薔薇細工。使っている石は少しオレンジがかったピンク色——まさに薔薇色。
それが幾重にも重なっている様に見えるのは製作者の腕が良いのだろう。よく見れば銀製の石座が微妙な影を作っているのが見て取れた。
それでもため息が出るほど繊細で美しい。
「コマチさん、このイヤリング……」
「ああ、素敵でしょ。古い物なんだけどさ。うちのスミズに研磨してもらったら綺麗な色が出てね。店に出してみたよ」
コマチは『
「なんの石なのかなぁ……?」
「さあね。
コマチは微笑みながら答える。
イヤリングに見惚れるシキに「つけてみなよ」と声をかけて仕事に戻ってしまった。
薔薇色の石で出来た薔薇——。その下に水晶で出来た朝露のような雫型の石が揺れている。つなぎには煌めくカットのビーズが使われていて、きっと揺れるたびに輝いて人目を引くだろう。
——でも、私には……。
似合わない。
地味な顔の私ではこのアクセサリーに負けてしまう。
そう思うと、つくづく『作る側』の人間なのだと実感する。
「そんなこたぁないよ」
シキのため息を耳にしたコマチが彼女の心を読んだかのように声をかけて来た。
「こういう淡い色はね、アンタみたいに色白で明るい髪色の子にピッタリさ」
——色合いは、そうかもしれないけど。
それよりも、とシキは切り出した。
「このデザインを参考にして私も薔薇のアクセサリーを作ってもいい?」
一瞬、コマチはポカンとした顔でシキを見つめたが、苦笑いしながら「いいよ」と答えた。
「この色の貴石が出たらとっといてね、コマチさん」
「ああ、任せときな」
卸しの代金を受け取ると、シキは足取り軽く店を出た。さあ、私ならどんな薔薇の宝飾品を作ろうか?
指輪、首飾り、髪飾りも良い——。
その軽やかな後ろ姿を見送りながら、コマチは残念そうにため息をついた。
「ま、気づくわけないか」
そう言うと指先でイヤリングをつついた。
「安心しな。売ったりさないさ」
ゆらゆらと揺れる薔薇のイヤリングはくすくすと笑っているようである。
「母親が作ったイヤリングって知ったら、驚くかねぇ」
薔薇色の耳飾り〜中央島の少女〜了
薔薇色の耳飾り〜中央島の少女〜 青樹春夜(あおきはるや:旧halhal- @halhal-02
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