薔薇色の髪

くにすらのに

薔薇色の髪

「お前ってほんとピンク髪の子好きな」


「だってかわいいじゃん。現実離れしてるところが」


「リアルで髪をピンクに染めて似合う時点で顔が良いからな」


「そういうことよ。お前だってかわいいと思うだろ?」


「まあな。でも俺は断然、髪は薔薇色がいいな」


 隣の席から聞こえる会話に意識を集中させる私の頭の中は疑問でいっぱいだった。薔薇色って赤ってこと? ピンクも大概だけど赤もまあまあキツくない?

 高校生は相手にしてないってこと? ライブハウスにいそうなタバコと赤い髪が似合うワイルドなお姉さんが好きなの!?


 校則はそんなに厳しくないからダークブラウンやうっすらとブロンドに染める子は珍しくない。だけど赤もピンクも学校内では見たことなくて、わたし達がクラスの男子は恋愛対象じゃないよねなんて話してる間に男子は男子でわたし達なんて眼中にないのかもしれない。


 困った。非常に困った。好きな人のタイプに寄せて仲を深めたいけど、いきなり赤はハードルが高すぎる。

 

 脳内のわたしが目をぐるぐるさせていると隣の席ではさらに会話が続いていた。


「薔薇ってな。いろんな色があんねん。赤、黄色、白。それに黒とか青とか。その人に似合ってればみんな薔薇色やねん」


「急なアンミカ草。しかもなんでも似合うとかちょっとクズっぽくね?」


「本人が一番かわいいと思う色が一番好きってことだよ」


「うわぁ出たよ。好感度上げる発言。俺みたいにはっきりと自分の好みを提示する方が絶対良いって。俺の好みと女の子の好きが一致する。それって最高じゃん!」


「お前こそ急にハチワレかよ」


 隣から聞こえた薔薇色の意味に頬が熱くなるのを感じる。顔が赤いよなんてからかわれてもそれ以上に嬉しいことがあったんだから気にしない。まだ一度も染めたことのないわたしの黒髪だって薔薇色なんだから。

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