宇宙船地球号に帰る

チーズ

地球号探査計画

宇宙船地球号ができたのは、今から何光年も前のことだった。

今は立ち入ることができない場所でもあり......人類の生存可能だった星でもある。



「なんで帰れないの?」

私は若い頃、なぜ帰還できないかを理解できなかった。

このころの自分は周りから見れば、おろかに見えたかもしれない。しかし今も愚か者に見えることは、大多数の人にとっては変わらないだろう......なぜ帰れないかを理解して、科学で解決しようと大学で計画を立てる。

この計画はやはりだが、予算の無駄遣いを指摘されている。

当たり前のことだった。



分かっていることだ寄生された惑星をテラフォーミングでもう一度生活できるようにするなんてことを、国民は国に求めてなどない。



まあ当然の話だが宇宙船地球号は元々我々が住んでいた場所でしかなく、環境を直したところで、元々あった生命が回復するわけでもない。

それでもこの計画を進めたいのは......ただの......機械の友人の言葉に突き動かされてだろう。我々よりも長く生き残れる機械生命体アンドロイドは、かつての地球を覚えている。その言葉に突き動かされて————————









心を動かされたから......自分はやはりロマンチストなのだろう。



_________



計画が最終段階になり、惑星に着陸した自分が見たのは......





自然、美しい自然だが......これは元の地球の光景ではない。なぜなら——————

「やっぱり記憶と違いますね......」

彼女......アンドロイドさんがそうつぶやく。

「やはり記憶どうりではないですか」

「ですが、こんな感じだったきもしますね......ここら辺にビルがあったんですよ」

彼女の視点の先にはもちろんビルなんてない。彼女の記憶の景色を自分達は知ることはできないが、デジャヴを感じる「ここに建物が、あったきがしますね」

「でも、あなたは元の地球なんて知らないですよねぇ」

「......」確かにそうだ。

「でも——————」

元々の植物は既になく何もかもが違うこの惑星だが、それでも美しさを感じるのは。

「自分が人だから、かもしれません」

自分から出た、言葉はそれだけだった。少し歩く、自分は自分の足を止めることはできなかった。

「ここは......!?」

「ここは、どこでしょうか?」


自分でも不思議だが、ここを自分は知らない。

「私がご主人様と認める......助手をしていた人が住んでいた家です」





彼女の言葉で思い出したそういえば、過去の論文に記憶の遺伝を主張していた人がいた気もする。

「記憶の遺伝?」

「ええ、この論文を研究していた人の助手を、私はしていたの」

「この論文には———」

地球に人が住んでいるころの論文だった......。

これが、正しいのなら私たちが元々......地球人だから美しさを地球そのものに感じるのかもしれない。











「こんな考えを持つなんて、やはり自分はロマンチストだ」








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

宇宙船地球号に帰る チーズ @kakuyyy

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説