第11話

『そして、私は今に至ります。私はこれから大戦へと向かいます。この日記を見つける頃、私がもしこの世に居なかったら、出来れば、この物語を紡いでください。二度と、争い事がこの世に生まれないように。』


【最終章 魔法大戦】


『空裂き、海裂き、光裂き、天地を崩す雷よ。今、此処に収束し、全ての生命を引き裂かん。【災禍】』


その瞬間、フルミネの周囲に怒号が鳴り響く。

耳をつんざく音の中には、勿論人の声も混じっていたが、決して、怒りを訴える暇など無かっただろう。


「…ごめん」


そう呟くと、フルミネはキュルネから飛び降り、たった独りで敵軍へと特攻した。


「フルミネ…っ!」


キュルネの振り絞った声も、フルミネが内に秘めていた怒号に掻き消され、決して届きやしなかった。


人智を超えた速度で飛び回るフルミネには、軍の一般兵達では到底追いつけなかったが、フルミネは意図しない所で結果的に軍を率いていた。


「貴様ら!フルミネに続け!!」

『はっ!!』


フルミネの魔力と軍の魔力が合わさった力は、決して争いとは言えず、言わば災害であった。

その残酷さ、悲惨さ、目の前に広がる地獄絵図は、フルミネも理解していた。


ただ、ここまで来てしまったからには、愚かな私は、止まれなかったのです。

この過ちを、決して許してはくれないでしょう。

ただ、この過ちを、決して忘れずにいていただけないでしょうか。


---- 第十一話 終 ----

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竜魔術師フルミネ 山根 くもり @kinmokusei_GL

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