不思議な話や怪異譚は、書き手によって
その味わいが全く異なる。
素朴な『おばけのはなし』は、深く心に
染み入って来る。さり気ない日常に端緒を
得た 不可解 は、時に肝を寒からしめ、
時に神々しく、又時にユーモラスな側面を
見せる。情景が目に浮かぶ様な怪異譚は
幼い頃に夢中になった『お化けの話』を
彷彿とさせ、更に長じた今ですら夢中に
させられるのだ。
そして後半は古くから言い伝えられる
歴史ある怪談奇談を詳細なレポートと共に
紹介してくれる。しかも動物の怪異多めが
如何に我々の生活が、様々な生き物と共に
あったのかを教えてくれる。
『化生の譚』としても大変に読み応えの
ある掌編集。お化け好きや不思議な話が
大好きという人は、絶対に読むべき
作品である。