第3話 天然物のテンプレ主人公
「た、タダノです。へ、へへへ平民です!よろしくお願いします!」
場が静寂に包まれその後すぐ笑いが巻き起こる
「なんでゴミ平民が学園にいるんだよ!はっはっはっはっw」
「わざわざ時間とお金を捨てにきたのかしら?w」
「平民はさっさと帰れよ!」
教室内が喧騒に包まれる中タダノは非常に満足していた
こいつらなんて完成度の高い悪役モブ演技なんだ!
さすがは生粋の貴族共、平民は見下していいという概念を植え付けて正解だった
まさか生でこんなにも素晴らしいものが拝めるとは
これは僕も気合を入れなければいけない
ちなみにこの概念を植え付けるという魔法
さらっと使っていたが超超超高等技術であり開発したのがライルであるためある程度の調整はお茶の子さいさいなのだ
今回はそのヘイトが自分のみに向くように調整しその他の平民に対しては普段通りの態度で接する
そこに存在するはずの矛盾は自覚できないようにしているため日常生活にも支障は0
全く関係のない人にも配慮するぐらいの良心は残っている
粗方ボロクソに言われたタダノ(ライル)は大人しく自分の席に座る
すると隣に座っている女子生徒から声をかけられた
「タダノ君、だよね?3年間よろしくね!」
「え?」
「ん?」
「あぁいや、こ、こちらこそよろしく、お願いします。」
「敬語なんてやめてよー、私のことはサリナって呼んでね!タダノ君!」
「あ、じゃ、じゃあサリナさんって呼んでもいいかな?」
「いいよー!」
スゥーーあっれーおかしいな
ちゃんと魔法は発動しているはずなのに
なんでこの子だけ何にも影響を受けていないんだろう
まぁいっか、そーゆーこともあるでしょ多分
こうして自己紹介の場が終わり授業が始まる
ただ今日は入学初日のためあくまでも軽くだ
今からは訓練所に移動してお互いの得意な魔法を見せ合うらしい
ケニオス学園は周辺国の中でも優秀な子が集まることが多く、貴族たちの中では自分の子がこの学園出身であることは一種のステータスになるためどこの貴族もこぞって息子娘をここに送り出す
勿論貴族だけではなくその中には平民や王族がいたりするが基本は皆優秀
その中で実力が劣っているとやはり目立つわけだ
ここには自分の実力に自信があるものばかりでプライドも高い
その分序列に敏感だ
これをどう活かすかが重要なのだ
魔法を使えないアピールはまずなしだ
そもそもそれでどうやって入学してきたんだという話になってしまう
それはまずい
しかしあまりに普通すぎると面白みに欠ける
あーでもないこーでもないと頭を悩ませていると訓練所に到着
考えるのが面倒になったためその時の自分に任せることに
それよりも周りの情報収集が大事だとばかり周囲の観察を始める
各々が自分の得意な魔法を発動する中、先ほど挨拶をしてきたサリナが的の前に立つ
杖を構え魔力を練り始めると周囲がどよめき始める
学生にしては過ぎたる魔力
宮廷魔術師かもしくはそれ以上の魔力に皆なにかしらのリアクションをしている
そのままサリナは周囲の様子に対して特に思うことはないのか集中を深めていく
《我、大いなる空に願う。大地を焦がし天を焼き、世界に荒れ狂う無秩序の破壊を求む者なり。眼前の塵芥を消滅させる究極の一撃をいざ誘わん。狂え、狂え、狂え、狂え、これぞ我が究極の奥義!極大魔法・アブソードメテオ!》
およそ学生の魔法とは思えない破壊の塊が的に向かって降り注ぐ
教師たちは周囲の生徒に被害が出ないよう防御魔法の結界を貼るが止めきれないと察知
せめて破壊の衝撃を逸らせるようにと結界の先端を空の方に曲げ衝撃に備える
サリナの魔法が的にぶつかりとてつもない衝撃と鼓膜を揺らす爆音が周囲に響き、遥か天にまで昇る巨大な煙が生成される
やがて煙が晴れていきそこに残っているのは地面にできた巨大なクレーターと困惑しているサリナの姿
先ほどまでは多少曇っていた空模様も今では雲一つ存在しない
「えっーと、私、なんかやっちゃいましたかね?ははっ、」
天然物のテンプレ主人公、人造テンプレマンの目の前に現る
イカれ王子のテンプレごっこ 虚無太 @kyomuta
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