スライム族の誇りに駆ける修行~第四回~
「じゃあ、今回はちょっと鼻も折れちゃってるみたいなんで、見学に入ろうかな~とね、はは」
ファン美人師範「そうね、見て勉強するのも大切なことだからね」
(ふう・・・それにしても、いったい右目側がまるでまだ何も見えないんだが大丈夫なのか・・・鼻血もドバドバだしな・・・ふう・・・)
やれ、とため息交じりにふと、連戦に入る男たちの方を見やると・・・
ガファンが今にも、こちらに襲い掛かるべくして向かってくる気配と殺気を発していた!
いかん・・・っ!
これでは・・・道場が終了後にガファン共にかえって手痛くぶち殺されるバッドエンドまっしぐら!
やべえぜ、とんでもねーくそみてーなフラグが立っちまってんじゃねーかよ・・・
スライム
ファン美人師範「あら、そう、いい心意気ですね」
(くっ・・・・)
ガファンがこちらを睨みつけ、ニヤリ・・・とほくそ笑んだ。
やはりガファンは何が何でも私をぶちのめしたくて堪らなかった様子で、二・三歩ほどこちらに歩み寄ってきていた。
「いやいや、すみませんね皆さん・・・はは」
列に整列する私。
「あんまりぐずぐずしてんじゃねーぞぉ兄ちゃんよぉ~・・・」
と、かなりゴツイ顔面のおとっつぁん。
師匠(シーフォー)「対人稽古はじめいっ!!」
「おいっす!」「ういっしっ!」
「そりゃあっ!」
各々掛け声と共に対人稽古が開始された!
私の対戦相手は、もちろんヤツ【ガファン】だった。
ガファン「てめえはよぉ・・・なぁにを鼻が折れたぐれえの事でごらぁ・・・逃げようとしてんだぁ~ゴルァァ・・・」
「いやいや、ガファンさん、見学も立派な武術の勉強だと思いますよ!ファン師範もそのように言っておられます!」
「ゼリョンてめぇ~とりあえずぶち殺すぜえ~・・・なぁ?ははは!」
と同時に襲い来るガファンの右前蹴り!
とっさに右の下段払いと体捌きで回避するわたし。
「うしっ!」
なんとか最初の一発目を回避した私に、ガファンの前蹴りの着地からの左後ろ回し蹴りが襲い掛かり、それは私の左肩に被弾した!
「ぐうぅぅっっ!」
それとほぼ同時に、右足をサっと私の懐に差し込み、馬歩立ちによる中段鉄砲突きを繰り出すガファン。
チャンス!
私はガファンのこのお得意のコンビネーションである、後ろ回し蹴りからの中段鉄砲突きを以前にもらっていた。
これをスッ!と体捌きと中段打ち受けで捌き、私は三か月前に習得したばかりの「上段紅蓮突き」を放った!
見事!わたしの【上段紅蓮突き】はうっすらと拳に炎を纏い、ガファンの顔面のやや右側面を捉えた!!
ガッスゥゥゥーーーーーーーーッッッ!!
ガファン「グゥッ!がっ!!」
やや燃えながら、5センチほどグニュリと凹むガファンの右顔面!
わたしはそのままガファンの顔面めがけて【上段紅蓮突き】を連打した!!
「ぐふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっっ!!」
ボファァァァァァ!
ガキィッ!ゴッ!ドババッッ!メキイィィィィっっ!
大きくふらつき、倒れかけるガファン!
「えいしゃあぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」
残心でキメを作るわたし!
倒したかっ!!
しかし、なんとか持ちこたえ、即座に構えるガファン。
スライム顔(なんてタフなヤツなんだ・・・顔面もメキボコでさらに焼けてるってのに!)
「ゴラアァァァァ・・・オレの顔面よぉ・・ボッコボコになっちまったじゃねーかよ・・・もーぶっ殺すまで終わらねえぞごらぁ」
「ホオォォォォォーーーーーーゥゥ!!」
ゴオキィィィィィッッッ!!
私はさらに上段紅蓮突きをガファンの顔面に叩きこんだ、が、さすがに大丈夫なのか、と心配になった。
ファン美人師範「やめいっ!!そこまで!」
そこで止めがかかった。
が、それに気づいてないのかガファンが襲い掛かった!!
ファン美人師範「ああっ!ガファンくん!止めですよ!!」
「関係ねえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!こいつをぶっ殺すまで終わらねえーーーーーーっっ!!」
師匠(シーフォー)「フゥオォォォォォォォラアァァァァァァーーーーーーーーーーッッッ!!」
バシュッ!!(刹那!師匠の空中飛行が繰り出された!)
と同時!師匠(シーフォー)の空中飛行から繰り出される【飛行三段紅蓮蹴り】がガファンに炸裂!!
バキッガシッゴゴッッ!!!
バッキイィィィィィーーーーーー!!ガシャアァァァッッ!!ドドウッッ!
まるでボールのように、まるで無重力の宇宙を飛んでいくかのように、ガファンは空中をまったくの無力に吹き飛び、道場の壁まで吹き飛び、そのまま地面に落下した!
師匠(シーフォー)「ガファン君・・・君は道場に私情を持ち込みすぎだよ、弟子たちは皆平等、お互いを高めあう為に仲良く努力してください」
と言い、元の場所に戻った。
ざわざわ・・・「やっぱすげーな・・・師匠の技はよぉ・・・」
ざわざわ・・・「半端じゃねーよ・・やべーよ師匠」
(やっぱすげえ・・・マジですげえよ・・・)
そして私は即座にガファンを奥に引っ張っていき、回復水を飲ませた。
「ガファンくん、すまん、いささかやり過ぎてしまった・・・」
回復水を含ませたタオルをガファンの顔に乗せた。
こいつは、こんなことで会心するような者ではないが、一応謝っておいたのは、ガファンの後々の復讐を恐れてのこと、と言うのもあった。
ファン美人師範「ガファンくん大丈夫?」
「ファン師範オスっ!たぶん、大丈夫っす!」
グフアァッッ!!ブフッッ!
ガファンが鼻や口などから血を吹き出し、起き上がった。
ガファン「ファン師範・・・そいつに・・・ゼリョンにだけ優しくするのは・・・なんでなんですか・・・自分にはそれが、どうしても許せねえんです・・・ガフッ・・・ガハッ!・・」
ファン美人師範「ははは、なに言ってんのガファンくん、それは完全にあなたの勘違いです。私は平等にやってるよ。」
「そうだよ、ガファンくん。ファン師範が単に俺がまだ弱いからかばってくれているのさ。」
「まあ、それもあるかもね!」とファン美人師範。
ガファン「そうっすかね・・・オレの・・・勘違いだったんでしょうかね・・・」
ゼリョン「そうだよガファン君、それにね、道場にそんな色恋を持ち込むなんてのは僕は好きじゃないな!ですよね、ファン師範!」
「そうね、道場の練習中にそんな色目で見られているかと思うと、あまり良い感じはしないわね」
ガファン「くっ・・・ッ!!(ゼェェェェェリョォォォォォンンンンンンンン~~~~っ!・・・・ころすぅぅぅぅぅぅ~やっぱ殺すうぅぅぅぅぅ~・・・・!!)」
そのように、少し懲らしめてやったりもした。
今日のガファンとの対戦の勝利で、自分の中にうっすらと自信のような熱い炎のようなものが目覚めるのを感じた。
スライム顔の俺でも強くなれるなら頑張るぜ!~憎いクソ共をぶちのめす為の命がけ修行~ 小桜 拓丸 @sakurango
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