スライム族の誇りをかける修行~第三回~

ファン師範「はい整列~っ!」


一同「おいっすーー!」


これまでの鍛錬ですでに皆さん、体中ぼこぼこにされている者も多いが

反面、無傷のものたちも多い。

私を執拗に狙ってくるガファンも、まだあまりダメージはないようだった。



シーフォー(師範)「最終対人稽古はじめいっっ!!」


はじまった・・!

毎回、ここの道場に数人来ては辞めていく、地獄の最終対人稽古っっ!

私の最初の対人戦相手は、ミィァゲイル族の者だ。



スライム顔(ゼリョン)「よろしくお願いしまっす!」


ミィァゲイル族の者「まあ、気楽にいこうか」



ミィァゲイル族の者の気の利いた一言で、少し気持ちを緩ませた。



と同時に、ミィァゲイル族の者の左手による【飛び込み顔面肘】がわたしの鼻っ柱に炸裂した!


スライム顔(ゼリョン)「ぐうぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!」


ド派手に飛び散る鮮血、わたしの鼻がもしかするとへし折れてしまったかもしれない。

ほぼほぼ呼吸もままならない状態で、ミィァゲイル族の者のはさらに追撃をしかけてくる。


ミィァゲイル族の者の【飛び込み顔面肘】で、けっこうな確率ですでに鼻の鼻骨がへし折れている

私(スライム顔)は、心の8割ほどがすでに恐怖で染まった!!


ミィァゲイル族の者「ケアァァァァァァァァァァァァっっっっ!!!」


ボシュウゥッッ!


ミィァゲイル族の【二段飛び膝(ひざ)】がわたしの、鼻骨が折れているかもしれない鼻っぱしらめがけて

繰り出されるも、さすがにこれをもらってしまっては、本当に大変なことになってしまうと言うとてつもない恐怖もあり、体が勝手に動き、躱した!!


こちらの視界がけっこうに危うくなっていることに恐らくは気づいているであろう、ミィァゲイル族は【二段飛び膝】を躱されることを予想していなかったのか。

なんとか、辛うじて視界が効いている左目のほうで確認する、刹那!



(ミィァゲイル族の者の【二段飛び膝】の着地の瞬間!一瞬の隙が生じた!!)



私のおそらく今までに20万回は練習してきているであろう、基本の【左上段廻し蹴り】がミィァゲイル族の者の、首の左やや後ろ側に炸裂した!

さらに、辛うじて見えている左目の視界を信じ、ジャンプ一閃!


スライム顔(ゼリョン)「どるあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!!」

ガッシィィィィィィィィィィーーーーーーーッッッッ!!


わたしの【飛び打ち下ろし肘(猿臂打ち)】が、ミィァゲイル族の者の脳天ど真ん中に炸裂!

ミィァゲイル族の者「あああああがあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!」


ドバアアアァアァァァァァァァンンン!!


ミィァゲイル族の者は、その場に倒れた。



師範(シーフォー)「はい、そこまで!」


ファン美人師範「はいはい!そこまででーす!」


師範とファン美人師範から、やめがかかった。



ふと、さらに視界が狭くなっている左目で回りを見渡すと、けっこうみなさん地面にぶっ倒れていた。


ファン美人師範「まだいける人は回復水を飲んで、気を整えてからこっちに並んで頂戴~!」


「おいっす!」

「ういっす!」

「ぉぃっす・・・!」


まだまだやれるぜ!といった気位の者。

やるしかねえ!と言う覚悟でさらに進んでいく者。

もうきついわ・・・と思いつつもチャレンジする者

ぶっ倒れたまま、わずかに痙攣しているものたちも多い。

隣でぶっ倒れている者は、肘でカットされたのか頬をざっくりと切り裂かれており、歯を数本失っていた。


スライム顔 (おめえら・・・いいファイトだぜ・・・)


眼前で絶賛ぶっ倒れ中のミィァゲイル族の者も、まだ意識が戻らないようなので、対戦相手になったわたしが回復水を飲ませなくてはいけない。



ほぼ視界の効かない左目で、ミィァゲイル族の者の両方の脇を抱え、道場のはじっこに連れていき、回復水を口に含ませると、ブフォォッッ!と血桜を舞い散らせながら、意識を取り戻すミィァゲイル族の者。


ミィァゲイル族の者「ああ・・・わりぃな・・・にいちゃん・・・」

スライム顔(ゼリョン)「はは・・・最初油断しました・・・勉強になりましたよ・・・」

(内心、「わりぃな兄ちゃん」じゃねーだろ、このやろーが、と思ったりもした。)



余裕のある者たちが、すでに整列して次のファイトの準備に入っているのを尻目に、素早く回復水を含み、気を漲らせる。

すると、ファン美人師範がすっとタオルを手渡してきた。

ファン美人師範「回復水をタオルに含ませてキズに当てると、外傷の回復に良いんですよ」と言う。

「オシッ!ファン師範ありがとうございますっ!」


回復水を含んだタオルを顔に当てると、みるみる視界が蘇ってきた。

「回復水を含んだタオルのおかげで、視界が戻りました」


ファン美人師範「ふふ、それは良かった」

と言いつつ、私の鼻をつまむファン美人師範。


「んっ?」と思った瞬間!

グイッと鼻を捻られた。

全身の手先や脳天を突き抜けるような、この世のものとは到底思えない激痛!!


スライム顔(ゼリョン)「ああがあぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!」

ブシュッ!ビシュッッッ!!ビュッ!

「がはあぁぁぁぁぁっっっ!がっ!!ぐあぁぁぁぁ!がはあっっっ・・・・」


ファン美人師範「ふふ・・・鼻が曲がってくっついちゃうと大変だからね」

と言い、にっこりと笑った。


「お・・・・おっし・・・!ありがとうございますっ・・・!ファン師範・・・!」




ファン美人師範「ゼリョン君は今回のファイトで、ステータスがけっこう上がったみたいねえ」

「さらにどうやら気づきもあったようね。」


(気づき・・・!それは新しいいわゆるスキル習得のようなものだ!やったぜ・・・!)



ファン美人師範「じゃあ、もう次のファイトが始まるけれども、どーする?」


チラリと列を見てみると、相変わらず無傷に近い状態のガファンが、こちらを凝視していた。

ファン美人師範に構われている自分を見て、さらにまた呪いの念派を送り付けてきている。


(うーーむ・・・こりゃあ・・・ぶっ殺されるなぁ・・・と思った。)


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