スライム族の誇りをかけた修行っ!~第二回~

やはり師匠(シーフォー)の作る「回復水」の効果は素晴らしい。


すっかり流血も落ち着き、呼吸も整った。

だがやはり、強打された部位はすぐには回復しない、けっこうな痛みを引きずりながらの練習に入る。


各自整列し、その場にてパンチやキックの練習をしていく。

我々生徒たちの前では、先輩美人師範のファン・シェィリィ(24歳)師範代が、模範となる技を出したり掛け声をつけてくれている。



ファン師範は若くして師範代を任されている我々生徒の憧れとなっていた。

わりと美人な顔立ちであるのも人気の一つでもある。

スッと伸びた姿勢、引き締まったウエスト周り、そういったプロポーションの良さも私らのような若い衆にはたまらない魅力となっている。


スライム顔(ゼリョン)「ふふ・・・やはりたまらんな・・・ファン・シェィリィ師範・・・ふふ・・」



その場での稽古はシェィリィ美人師範の掛け声によって、終盤の受け技の練習に入っていた。


「ふふ・・・いかんいかん・・・いかにシェィリィ師範が美しくとも、稽古はしっかりせねばな、またガファンにボコボコにされてしまう」

ゼリョンはそのように考え、ニヤケ顔を戻した。


しかしその時、ゼリョン(スライム顔)は知らなかったのだが、三つ隣の一つ後ろのあたりに整列し、技の練習に参加しているガファンは、ゼリョン(スライム)のファン美人師範を見つめる熱い眼差しや、しまらないニヤケ面を見逃さなかった。


「野郎ぉ~ぅ・・・ザーコのくせに色気づいてやがるなぁ・・・」

また、ガファンのいじめ心に火が灯った。




ファン美人師範「あれ?ゼリョン君、受け技をしっかり気を引き締めて練習しないと、またガファン君にボコられちゃうわよ」


「あっ、失礼しましたファン師範!」

ファン・シェィリィ美人師範に注意され、うかれ顔になるゼリョン(スライム顔)、と、反対にこめかみ部分に青筋を浮かべ、いじめ心がさらに過熱されていくガファン君。



師匠(シーフォー)「その場練習やめいー!気を整えて打ち込み稽古に入れ!」

生徒一同「おいっす!」


「すぅぅぅぅぅぅぅぅ・・・はあぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・すぅぅぅぅぅぅ・・・・・はぁぁぁぁぁ・・・・・」

体内を気がめぐっていく・・・自分はまだまだだが、へその下のほうにあるという「丹田」と言う部分に集中することが大切なのだと言う。


「すぅぅぅぅぅぅ・・・・・はぁぁぁぁぁぁ・・・・・」



(なんだか、気が丹田に蓄積していくのを感じる・・・)



ファン・シェィリィ師範

「はーい並んで~!」

「各自【皮砂袋】は持ちましたかー!手前側の人は布団を持って、奥側の人はそれを叩いたり蹴ったりしていくわよ~!はじめーっ!」


「うりゃあっ!うっし!うしっ!うしっ!!」

バシッ!ドムッ!

ドドムッッ!

ズドンッッ!

「えいしゃっ!ういっし!!」

ズドドン!

ドトムッ!!


およそ時間にして40分ほどだろうか、手前側と奥側とで交互に、2分おきにそれぞれ入れ替わりながら布団打ち稽古が続いた。


ファン師範「砂袋打ちしゅうりょ~っ!お疲れ様!はい、気を入れて~っ」


生徒一同「すぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・」



師匠(シーフォー)「そろそろ締めの対人ファイトに入りなさい。」


ファン・シェィリィ美人師範「はい、師匠(シーフォー)。対人ファイトを始めるわよ!せいれーつ!」


「おいっす!!」


ゼリョン(スライム顔)「ついに締めのファイトか・・・最初のファイトがおよそ20分、その後の稽古がだいたい2時間くらい、いつもならまだあるが今日は早めの締めのファイトのようだな」


「いける・・・!今日のおれは、いい感じに気も満ちている・・・!」


ガファンが来ても今ならいける・・・・!


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