転生工事現場
目を覚ますと、俺は工事現場の片隅で砂まみれになっていた。周囲には作業員たちが忙しそうに動き回り、耳には機械の轟音が響く。どうやら俺は転生して、工事現場の作業員になったらしい。
「この時計、頼むわ。」
同僚から古びた懐中時計を手渡された。「現場で拾ったんだが、直してみろ」と言われ、俺はなんとなくその修理に取りかかった。
時計をいじっているうちに、不思議な感覚に襲われた。歯車をひとつ回すたび、過去の記憶がフラッシュバックする。どうやら俺は、前世でもこの現場で働いていたらしい。しかも事故で命を落としたことまで思い出した。
やがて時計が動き始めると同時に、目の前の時間が逆戻りしていく。そして、あの日の事故の直前に戻った俺は、機械のスイッチを止め、大惨事を防いだ。
その瞬間、時計は粉々に砕け散った。転生の目的を果たした俺は、次第に体が消えていくのを感じた。時計が繋いだ命の輪は、そこで終わりを迎えた。
一瞬の物語 ブリンケイド @brinquedo029
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